産む・産まないでなく、人生の選択を考えるためのカラダの教育

産む・産まないでなく、人生の選択を考えるためのカラダの教育

知られていない「妊孕性」

現代日本の女性の平均初婚年齢は29歳、第一子出産年齢の平均は31歳です。女性の社会進出により晩婚化が進んだことで、学びやキャリアに力を注ぐ時期と、妊娠・出産を考える時期が重なるようになりました。しかし、妊娠するための体の力を示す「妊孕(にんよう)性」は、30代半ばから加速度的に低下します。子どもが欲しいと思ったときになかなか妊娠できず、不妊治療を受診して初めて、年齢による妊孕性の低下や、女性特有の疾患が妊孕性に影響することを知るケースは少なくありません。知らないことで、将来の選択肢を狭めてしまう可能性があるのです。

知識があれば、選択肢は広がる

30代の働く既婚女性を対象に調査した結果、年齢だけでなく、体重や喫煙などの生活習慣、性感染症なども含めた包括的な妊孕性の知識を持つことが、妊娠の時期を考えて人生を設計する行動につながっていることがわかりました。一方で、週40時間を超える長時間労働が、妊娠を望んでいてもそれを妨げる要因になることも明らかになっています。
「いつか子どもを持ちたい」と考えているかどうかを問わず、生殖に関する正しい知識を持って、人生を選択できることが大切です。そのための教育と社会づくりの両方が求められています。

「プレコンセプションケア」の考え方

中高生への思春期教育は、思いがけない妊娠や性感染症の予防に重点が置かれています。しかし、自分の生殖の健康やライフプランを主体的に考える「プレコンセプションケア」の観点から、中高生のうちに知っておくべきことはもっとたくさんあります。体重や栄養の管理、月経トラブルを放置しないことなど、若いうちからの健康習慣が将来につながるという知識は、妊娠・出産を考える年齢になってから知るのでは遅い場合もあるからです。生殖の健康についての知識の重要性は現在認識されつつあり、学校の思春期教育でも少しずつ広がりを見せています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

岩手県立大学 看護学部 看護学科 母性看護・助産学 教授 アンガホッファ 司寿子 先生

岩手県立大学 看護学部 看護学科 母性看護・助産学 教授 アンガホッファ 司寿子 先生

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生涯発達看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

自分の進路について不安に思うかもしれません。ただ、これだと決めたキャリアを進む中でも、また新しい道を見つけることがあります。私が生殖の健康に関する研究を始めたきっかけは、助産師として出産に関わる中で「子どもができにくいこともある」という気づきを得たことでした。この分野に興味があるなら、出産・育児に関する社会の動きに目を向けてみてください。意外と目まぐるしく変化していることに気づくはずです。その小さな気づきが、将来の自分の道を切り開くきっかけになるかもしれません。

岩手県立大学に関心を持ったあなたは

大学は「知識」を得る場であるだけではなく、「人生の目的」を考える場であり、これからの人生で自分は何をなすべきかを探求する場でもあります。人はそれぞれ固有の素質と能力を持っています。それをいかに見出し、育成していくかが教育の最大課題であると考えています。この大学での貴重な学習期間に、自己の能力と個性を伸ばし、適性を見出すことに努めてください。本学の教職員は、全力を挙げてこれに協力します。