切らずに動物の体の中を診る:これが画像診断

切らずに動物の体の中を診る:これが画像診断

外から見えない病気を画像診断で探す

動物は「ここが痛い」と言葉で説明してくれません。そのため獣医療では、切らずに動物の体の中を見る「画像診断」が活躍します。獣医療での画像診断は、レントゲン、超音波、CT、内視鏡、シンチグラフィーを使い分けます。レントゲンでは見つからなかった肺炎が、CTで見つかることがあります。大学の臨床教育では、CTをレントゲンの「答え合わせ」に使うことで、「レントゲンで見えなかった理由」を勉強します。こうして、獣医師がレントゲン画像を読む力を向上します。

画像診断が農家の判断を助ける

解剖しないと病気の原因がわからない症例がたくさんあります。しかし、最近ではCTによる生前診断ができるようになりました。例えば、これまでは脳に異常がある牛という診断で済まされていた症例も、「脳に水がたまっている水頭症」や「脳に細菌感染がある脳膿瘍」など、生きたまま詳しく診断できるようになりました。そして、学生は生きた症例の身体検査をすることで経験を積むことができます。生前診断は、生産農家さんの判断の助けにもなります。画像を見せて、「脳に水がたまっています」や「脳に膿瘍があります」「治療は厳しいです」などを伝えられれば、農家さんも納得してくれます。

病気を推理する探偵

獣医師の仕事は、探偵にも似ています。「いつから食欲がないのか」「吐いた物は何色か」という、飼い主さんの説明が大切な手がかりです。吐いた物が赤いなら胃からの出血、黄色だったら十二指腸の異常かもしれません。飼い主さんの説明と画像診断や血液検査の結果を組み合わせながら、病気を推理します。
産業動物の獣医師は、動物の命を助けることだけが使命ではありません。肉牛の成長は、農家さんの生活に直結します。治療しても回復が見込めない場合には「なぜ治らないのか」を丁寧に農家さんに説明することが重要です。病気を早く見つけて農家さんの損失を減らし、安心安全な食を国民に届けることも、獣医師が社会で果たす大切な役割です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

麻布大学 獣医学部 獣医学科 教授 山田 一孝 先生

麻布大学 獣医学部 獣医学科 教授 山田 一孝 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

獣医学、獣医放射線学

メッセージ

獣医師は、「動物が好き」なだけではできない仕事です。残念ではありますが、動物は必ず死にます。伴侶動物にはできる限りの治療をして、飼い主が納得できる最期に導くことも大切な役割ですし、産業動物では治らない病気であれば、正しく診断して農家さんに説明することも獣医師の仕事です。そのような場面に自分が立ち会えますか。高校生のうちに動物病院でボランティアをするなど、いろいろな経験をして、向き不向きを確かめてください。覚悟を持って進路を選んだあなたを、大学で待っています。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

麻布大学に関心を持ったあなたは

はじまりは1890年に開設した東京獣医講習所でした。
まだ栄養状態が豊かでなかったこの国の、人の生活を豊かにするため、畜産の発展に寄与するため獣医師の養成をはじめました。それから約130年の時を経て、人の社会と動物のかかわりは深くなり、複雑になり、生きものすべてが新しいバランスで循環する「いのちのあしたのあり方」が求められています。
これが私たちの目指す「地球共生系」です。
最先端の研究と確かな実践力で、「人と動物と環境」に向き合い、地球のあしたをつくる。これが私たち麻布大学です。