水の中で何してる? バイオロギングで生物や環境の保全に貢献

水の中で何してる? バイオロギングで生物や環境の保全に貢献

データを動物に集めてもらう

動物の行動を知るには、目でよく見て観察することが基本です。しかし、野生動物や水中で暮らす生き物の場合、すべての行動を目視はできません。そこで役に立つのが、動物に小さな記録装置を付けて行動や周囲の環境を記録する「バイオロギング」という技術です。人が目視できない範囲の行動データを動物自身に集めてもらうのです。取り付ける装置は、動物の種類や調べる目的によってさまざまあります。

えさ場の使い分け、産卵場所も判明

例えば魚類を調べる場合、主に2つの方法があります。1つは、魚を識別する信号を出す発信機を外科手術で魚の腹の中に埋め込む方法です。推定される魚の行動範囲に受信機を設置して魚の移動を追跡します。
もう1つは、魚の体の外側に記録計を付けて放し、一定期間の後に回収して記録されたデータを解析する方法です。魚類の調査では特に泳ぐ深さと水温のデータが重要で、これらのデータからおおよその暮らしや環境の変化による影響が読み取れます。さらに照度、加速度、速度のセンサや水中カメラを付けることで、より詳しい行動がわかります。
琵琶湖での調査では、コイに付けた水中カメラの映像からフナやナマズなどの在来種が共通のえさ場をうまく使い分けて共存していることや、受信機での追跡から多くのコイやフナが春の産卵期に同じ場所に戻ってくることが明らかになりました。こうした調査結果は、在来種の保全や水産業の振興、食文化を守ることにつながります。

データを公開して生き物を保全

絶滅が危惧されている海鳥を守るため、GPSの発信機を使った飛行経路の調査も行われています。こうしたバイオロギングを使ったフィールド調査の生物環境データは、研究者だけでなく、一般の人もアクセスできるようにデータベース化が進められています。生物や環境の保全は少数の専門家だけでは達成できません。研究データを公開し、「オープンサイエンス」として社会全体で取り組んでいくことが重要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

福知山公立大学 情報学部 情報学科 講師 吉田 誠 先生

福知山公立大学 情報学部 情報学科 講師 吉田 誠 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

バイオロギング、魚類行動学

先生が目指すSDGs

メッセージ

夢中になれることを見つけて、それに向かって突き進んでください。勉強も大切ですが、まず情熱を持つことです。情熱があれば勉強もやる気が出ます。もう一つ大切なことは、人との交流や実体験を大事にすることです。今はインターネットやAIでいろいろなことを知ることができますが、現実はスマホの向こう側にあります。現場に出かけて人と対話し、いろいろなものに触れてください。体験して初めてわかることがたくさんあります。フィールド調査で野生動物と一対一で向き合う中で、そう強く感じています。

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京都にある公立大学「福知山公立大学」は「持続可能な地域づくり」に挑みます。地域経営学部は、地域社会の事業体が地域社会のあらゆる資源を有効に企画・運営・管理することにより、地域社会づくりや創り直しに寄与し「持続可能な社会」の形成に貢献するための学修を行います。情報学部は、先端情報技術を地域の生活や産業のあらゆる分野に応用し、暮らしを豊かにして社会の安定に寄与する地域モデルを構築するための学修を行います。
両学部は、地域住民・団体と協働して学び、研究を深める「地域協働型教育」が学びの特徴です。