薬の効果や副作用を予測 ファーマコメトリクスの新手法

薬の効果や副作用を予測 ファーマコメトリクスの新手法

薬の体内での効果・副作用をシミュレーション

薬理学の新たなデータサイエンス「ファーマコメトリクス(Pharmacometrics)」が注目されています。さまざまな薬の体内における挙動(薬物動態)や反応性(薬力学)を数式でモデル化し、効果や副作用をシミュレーションする研究分野です。
新薬を開発するとき、動物実験などで得られたデータを基に、実際に人に投与するとどんなことが起きるかをファーマコメトリクスにより予測し、人への臨床試験(治験)を行う前に投与方法などを決定します。そうすることで、人への治験を安全かつ効率的に行うことが可能になります。

ベストの投与量を導き出す

臨床現場でもファーマコメトリクスの活用が広がり始めています。例えば、実際に患者に薬を投与する前に、コンピュータ上で仮想患者を設定してシミュレーションすることで、対象の患者にとって最適な投与量を導き出せます。特に抗がん剤や抗菌薬など、副作用と効果のバランスが難しい薬を使う際、効果は最大、副作用は最小になるベストの量を知るのに役立ちます。
例えばMRSAという細菌に使う抗菌薬についての研究では、ファーマコメトリクスを基に、個々の患者のデータに合わせて投与量を簡単に計算できるアプリケーションが開発されました。実際の医療現場で広く活用されており、全国の病院から投与時のデータを収集し、そのビッグデータを解析して更に精度の高い投与設計法に役立てる仕組みになっています。

ビッグデータの収集、AI活用も

シミュレーションの精度を高めるには、さまざまな患者の多数のデータが必要で、ビッグデータの収集方法やAIを活用した解析も課題となっています。また日本は、専門家である「ファーマコメトリシャン」が少なく、病院にはほとんどいないという実情もあります。さまざまなタイプの新薬が登場し、使用法が複雑な薬も増えています。臨床現場で薬物療法を個別最適化できる臨床薬剤師、ファーマコメトリシャンのニーズが高まっています。

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先生情報 / 大学情報

順天堂大学 薬学部  教授 木村 利美 先生

順天堂大学 薬学部 教授 木村 利美 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

医療薬学、臨床薬理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

2024年春にスタートした本学薬学部は、臨床力と研究力を兼ね備えた薬剤師の育成をめざしています。薬学部の教員は医療現場から離れることが多いですが、本学は教員が現場で最先端の治療に関わりながら、スキルを学生に教える欧米型の教育を行っています。日本最大規模の附属病院で、全学生が手厚い指導のもとに専門的な実習や研究を行うことが可能です。臨床も研究もできる薬剤師をめざすなら、ぜひ本学に来てください。大学院では、日本でまだ少ないファーマコメトリシャンの育成にも注力しています。

先生への質問

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順天堂大学は9つの学部を擁する国際的健康総合大学です。薬学部はまだ歴史は浅いですが、社会の期待に応えるため、「臨床力」と「研究力」を両輪とした教育を展開しています。勉強もハードですが、プライベートとのバランスを大切にしながらそれぞれの目標に向かって充実した学生生活をおくることができます。順天堂大学で、未来の医療と健康を支える薬学をともに極めていきましょう。