七味唐辛子は「クスリ」? 身近な食材から薬の仕組みを探る

漢方薬と薬膳
漢方薬は、さまざまな植物や素材を混ぜ合わせて作られます。一つの成分だけを使う西洋薬とは異なり、複数の材料をきちんとした配合理論に基づいて組み合わせることで、薬効が生きたり、損なわれたりします。
薬膳は、このような漢方の理論と本草学的な薬効のとらえ方に基づき、生薬(しょうやく)を使わなくても、普段食卓にのぼる食材を組み合わせて、効能の高い料理を提供します。例えば、料理の薬味として使われる七味唐辛子は、漢方薬の考え方を基に江戸時代に作られました。麻の実、山椒、みかんの皮など、漢方薬にも使われる素材を組み合わせて、体によく、おいしい調味料として売り出されたのです。
漢方薬はなぜ効くのか
漢方薬の効能には、まだ科学的に解明されていないことが多くあります。そこで、材料に含まれる成分を取り出して、どの物質がどのような働きをするのかを調べる研究が進められています。抽出したエキスから複数の含有成分を単離精製し、細胞などに作用させることで、効果を持つ成分を特定していきます。しかし漢方薬の難しさは、単一の成分だけでは説明できない点にあります。同じ生薬を使っていても、配合の割合が変わるだけで、風邪薬の処方だったものが、胃腸薬として使われることがあります。複数の成分が組み合わさって働く仕組みを解き明かすことで、漢方薬の効き方をより正確に理解して、安全性を高めながら医療に活用していくことが期待されています。
「医食同源」
こうした研究は、漢方の基本的な考え方である「医食同源」にもつながります。これは、食べ物と薬は同じ源から生まれ、日々の食事が健康を支えるという考え方です。ショウガやシソなどは、普段の食事に使われる食材ですが、体を温めたり体調を整えたりする働きがあるとされています。病気になってから治すのではなく、日々の食事から体の状態を整えて、健康を維持するという考え方は、これからの社会でますます重要になります。身近な食べ物の中にも、まだ解明されていない薬の仕組みが隠れているのです。
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