幼児期に情動をコントロールする力はどう発達する?

社会への適応に必要な力は
近年、子どもが社会への適応力を育んでいくためには、テストで測定できる認知的な力だけではなく、他者とうまく関わる力が重要であると言われるようになりました。必要な力の一つが対人関係において自分の気持ちを適切に表現する力です。こうした社会適応に関わる情動(気持ち)の発達のパターンや、情動発達に影響を与える要因を明らかにするため、全国の300を超える家庭と子どもを対象に、継続して追跡する研究が行われています。
情動の発達パターンと行動を分析
まず、年少から年長までの3年間、子どもにインタビュー調査を毎年行います。例えば自分の描いた絵を友だちにけなされたという状況を仮定し、「どう思うか」と「どう行動するか」を4つの選択肢から回答してもらいます。あわせて年少時に家庭での養育態度について調査しておきます。そして就学後に保護者に子どもの様子についてアンケート調査を行い、精神的な健康度を調べます。
調査の結果、友だちから絵をけなされた場合に、悲しく思いつつも適切に振る舞う子どもは、就学期以降の精神的な健康や社会適応が高いことがわかりました。そうした情動をコントロールする力は、子どもの自律性を尊重して温かく支える家庭で育まれるという結果も得られました。
子どもの課題を予測
社会適応と情動発達のパターン、家庭での養育の関係性を明らかにすることは、保護者や保育者の指針となり、また、社会適応に課題が予測される子どもへの支援につなげられる期待がもてます。性差は幼児期でもさまざまな側面に表れ、今回の調査でも情動発達の課題が男児に多く見られるものの、この発達パターンは家庭の対応を変えることで改善されることもわかりました。
自分の情動をコントロールして適切な人間関係を築く能力は、その後の人生に影響します。幼児期の情動発達が、就学期以降の学習や運動の発達とどう関係していくのか、研究が続いています。
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