本当の学びとは何だろう? ルソーとは何をした人なのか

与えられた情報を超える学び
学校の授業では、教科書に載っている用語や公式、年号を覚えることがいまだに多いです。それはそれで大切ですが、学びを自分のものにするには、物事を自分の経験に引きつけて理解することが重要です。ある歴史的事象が別の事象とどう関連しているかを想像したり、その科学的法則がどう生活に役立っているかを考えたり、誰かの思想に対して別の考え方はないかと思索したり、ある発見をした人の探究心に共感したり。教科書に載っているような情報を超えて、少し深堀りしてみたときに、初めてそういう学びが得られるのではないでしょうか。
ルソーを「知っている」とは
「思想家ジャン=ジャック・ルソーは1762年に『社会契約論』を刊行し、人民主権を唱えた」という史実を学んだとします。その際に、ルソーがどういう人物で、彼の頭の中では社会契約と人民主権はどう結びついていたのか、彼の理論はホッブスやロックとどう違うのか、どういう人物がルソーの思想を受け継ぎ、あるいはねじ曲げてきたのか、それが私たちにどう影響しているか、などを知ってこそ、「ルソーは『社会契約論』を書いた」がどういうことか実感できるのです。そのためには、教科書に要領良くまとめられている知識を少し深堀りして、ルソー本人の言葉にあたってみることも重要です。
原文から理解するルソーの魅力
『社会契約論』の冒頭には次の言葉があります。「人間は自由なものとして生まれた、しかしいたるところで鎖につながれている」(桑原武夫・前川貞次郎訳)。実はフランス語の原文では、「しかし」の部分は「そして(et=and)」になっています。ルソーは「人間は自由なものであり、そしていたるところで鎖につながれている」と考えたのです。自由であることと不自由であることが逆接ではなく順接で語られている点に、ルソーの発想のユニークさと哲学的な深さが感じられます。そしてここに彼の考え方が凝縮されているのです。「学ぶ」とはどういうことか。そんな問いが学校教育の現場に突きつけられています。
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