捨てられるものに新たな価値を 酵素で実現する循環型ものづくり

捨てられるものに新たな価値を 酵素で実現する循環型ものづくり

廃棄物が新たな資源に

食品を作る過程では、多くの資源が廃棄されています。例えば、さまざまな実の皮や、農産物の規格外品、収穫後に捨てられる部分などです。こうした未利用資源を「ごみ」として処分するのではなく、新たな価値を持つ物質へ変える研究が進められています。
その鍵となるのが「酵素」です。酵素は、生き物の体内でさまざまな化学反応を助けるタンパク質です。強い熱や薬品を使わなくても、目的の物質へと変化させられることが大きな特徴です。

遺伝子データベースで新酵素を発掘

酵素には異なる性質を持つたくさんの種類があり、現在も新しい酵素の探索が続けられています。従来は自然の中から微生物を採取して未知の酵素を探していましたが、現在は膨大な遺伝子データベースから既知の酵素とは異なるものをピックアップし、大腸菌を使って実際に作り出して、性質を詳しく調べます。
新しい酵素が見つかれば、その性質を詳しく調べ、利用の可能性を見極めます。新しい酵素を発見すること自体に学術的な価値がありますが、さらに将来の食品や健康分野への応用につながる可能性も期待できます。

砂糖の搾りかすに眠る価値

酵素を活用した農産廃棄物の資源化の一つが、砂糖を製造する際に出る搾りかす「廃糖蜜」からのオリゴ糖の生成です。「廃糖蜜」には、砂糖の成分であるスクロースがまだたくさん残っています。スクロースを二つに分解する酵素、その片方を別の形に変換する酵素、そしてそれらを再び結合させる酵素と、複数の酵素を組み合わせることで、オリゴ糖が合成できます。オリゴ糖が安価な廃棄物から製造できるようになれば、食品や健康分野への応用が期待できます。
でんぷんを多く含む農産物であれば、酵素や微生物の働きによって焼酎などの発酵食品にも変換でき、甘酒や乳酸菌飲料といった用途も広がります。例えば、新潟県で大量に廃棄されている規格外の里芋などを使って焼酎を作るなど、地域の農産廃棄物を有効活用する技術としても期待されています。

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新潟工科大学 工学部 工学科 食品・環境化学系 食品資源工学研究室 准教授 仁平 高則 先生

新潟工科大学 工学部 工学科 食品・環境化学系 食品資源工学研究室 准教授 仁平 高則 先生

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食品科学、バイオプロセス、酵素化学

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メッセージ

人生において、一つのことに集中することにも価値がありますが、いろいろなものに興味を持ち、手を伸ばしてみることも同じくらい大切です。つまらないと感じる勉強や経験の中に、人生を変えるきっかけが潜んでいることもあります。自分の興味の周辺にあるものを見つめ直したり、ほかの人や物事に目を向けてみたりすることで、思わぬ発見があるかもしれません。若いうちは感受性も記憶力も行動力も、人生のどの時期よりも豊かです。その力を生かし、自分で調べて外に出て、多彩な経験を積んでください。

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