シャボン玉を数式で説明できれば、地球の動きがわかる?

シャボン玉を数式で理解する
シャボン玉を光にかざすと、表面に虹色が動いて見えます。この虹色の流れを数式で表そうとする研究が進められています。シャボン玉の薄い膜は絶えず形を変え、止まることがありません。シャボン玉の表面は曲面なので、平面とは違い、曲がり具合や形の変化も流れに影響します。表面の形状には、膜の密度や流れの速さ、温度、圧力、表面張力、溶けている物質の濃度など、いくつもの要素が関わります。
現象を数式にするには、まず、どの数値に注目し、何を省くのかを決めなければなりません。きれいな見た目の奥で、たくさんの条件が同時に動いています。
方程式がシミュレーションを支える
ではなぜ、シャボン玉の現象を数式で表す必要があるのかと言えば、自然現象をシミュレーションするとき、その基になる方程式が必要だからです。例えば熱いお湯が冷める温度変化も、方程式があれば実験せずにシミュレーションで予測できます。式を作ることは、自然現象を計算できる形に翻訳する作業なのです。
シャボン玉は、膨らませると膜が割れます。実験では縁から割れる様子が確認され、シミュレーションでも縁の密度が下がる可能性が示されました。縁が薄くなっていく様子は、数式でもとらえることで見えてきました。
海や大気の流れに応用?
目で見て確かめられる、身近なシャボン玉の現象をとらえた数式は、もっと大きくて複雑な自然現象を知る手がかりにもなります。シャボン玉の表面では色の流れや密度が変化していきますが、地球の海や大気の流れも、遠くから見れば、シャボン玉と同じ動く曲面である地球の表面で起きる現象です。また、細胞膜などの生体膜も、動く膜の上で物質や情報が伝わっていきます。
平面ではなく、曲がっていて、しかも動く曲面の現象を方程式に落とし込むことは簡単ではありません。しかし、シャボン玉の現象を数式で解明することができれば、それは生命や地球を理解する手がかりへと広がっていくのです。
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熊本大学 理学部 数学コース 教授 古場 一 先生
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