「ご飯食べた?」があいさつに 言語から文化や考え方が見えてくる

日本と違う中国のあいさつ
中国語の「你好(ニーハオ)」は日本語の「こんにちは」にあたるあいさつですが、中国人同士は気軽に「ご飯食べた?」というあいさつをよく使います。「たくさん食べたよ」「今日は食欲がなくて」と会話が広がるきっかけになるからです。
これは、1959~69年まで続いた大飢饉(ききん)で「今日の食事にありつけるか」が人々の最大の関心事だったという歴史も影響しています。また、人間関係を大切にする中国社会では、「おじさん」「おばさん」と呼びかけるだけのあいさつもあります。
文章の作り方はなぜ違う?
日本語と中国語では、文の作り方も違います。中国語では「流水文」といって、できごとを流れるように表します。日本語では「私は喫茶店に入り、先生を見かけた。先生も私を見た。互いに会釈した」と区切る場面を、「私は喫茶店に入り、先生を見かけ、先生も私を見て、互いに会釈した」と一文で表します。この表現の違いから、中国人は場面全体を一続きにとらえていることがわかります。ことばを観察すると、その言語を使う人々の文化や、人との関わり方、物事の見方などが見えてくるのです。
映画のポスターも社会を表す
言語だけでなく、画像などの視覚表現にも文化の違いが表れます。アニメ『千と千尋の神隠し』のポスターは、日本版と中国版で大きく異なります。日本版は不思議な造形の街と、「トンネルの向こうは、不思議な街でした」というキャッチコピーが共鳴し、不安げな主人公・千尋と観客の視線が交差します。中国版は水につかった線路を歩く千尋の後ろ姿を描き、「振り返らずに、歩き続けよう」というキャッチコピーを添えています。人物の大きさ、配置、キャッチコピーの違いなどを分析すると、日本の観客は登場人物に共感しながらストーリー展開を楽しみ、中国の観客は映画全体の世界観に込められたメッセージを味わおうとする傾向が見えてきます。
このように視覚表現も、「目で見ることば」として読み解き、社会の特徴や持つ意味を研究できるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

![選択:[SDGsアイコン目標10]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-10-active.png )