AIが被災状況を「目」と「耳」で判断する

身近なIoT機器から情報を収集
地震が発生したとき、どこでどのような被害が起きているのかを短時間で把握することは簡単ではありません。そこで、「マルチモーダルAI」を活用し、被災状況を把握する研究が進められています。これは、家庭用のペットカメラやスマートスピーカーなどの身近なIoT機器から得られる画像と音を組み合わせて、AIが周囲の状況を認識する技術です。
例えば、平常時に画像から家具を個別に認識した上で、各家具の重心を把握し、その変化を追跡できるようにしておきます。地震発生後は、物体の重心がどれだけ移動したかを調べ、その情報と「冷蔵庫」「テーブル」といったAIによる認識結果を組み合わせることで、どの家具が倒れたり、大きく動いたりしたのかをAIが判断します。さらに、画像だけでなく、ガラスが割れる音や家具が倒れる音などの音響データも組み合わせることで、AIは部屋や建物の被害状況をより正確に把握できます。
地震の実験施設でAIを育てる
地震の被害をAIに教えるためのデータは、これまでほとんど存在していませんでした。そのため、実際に建物を大きく揺らせる実験施設を使って地震をシミュレーションし、模擬的な被害データの取得が行われています。手術室や診察室まで備えた病院がまるごと再現され、阪神・淡路大震災や東日本大震災と同じ揺れ方でどれだけ損壊が起きるかが調べられています。こうして一つずつ手作業で積み上げられたデータは、多くの研究者が使えるよう公開される予定です。
事前のリスク評価と迅速対応が可能に
この技術は、発災前のリスク評価と家具の固定などの対策にも役立てられ、発災後は建物や道路の被害状況を素早く推測することに活用されます。現在は、人が現地に行って確認する応急危険度判定などを補助することも想定されています。
技術が広く活用されれば、対応の優先順位を速やかに判断できるようになり、救助や復旧活動の迅速化につながることが期待されます。
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