新しい半導体で、見えない中性子を捕まえろ!

用途が広い中性子検出器
中性子検出器は、金属内部の非破壊検査や宇宙空間の放射線のモニタリング、原子力・核融合発電での核反応のモニタリングなど幅広い分野で活用が期待されています。
中性子は電荷を持たず、電子のように直接電気信号に変換できません。そのため、中性子を別の物質に当てて核反応を起こし、そこから生じた荷電粒子や光を検出する間接的な方法で検出器に使われています。ただしその分、感度や画像の分解能が落ちるという課題があります。さらに、現在広く使われているヘリウム3ガス計数管は、原料となるヘリウム3が極めて希少で高価なため、将来の安定的な利用にも不安があります。
新しい半導体で直接検出
こうした課題を解決するために、半導体による中性子の疑似直接検出という新たな研究が進んでいます。鍵となるのは、青色LEDの材料として知られる半導体「窒化ガリウム(ガリウムナイトライド)」です。
ガリウムの一部を、同じ13族の元素で中性子を捕まえやすいホウ素(ボロン)に置き換えると、「窒化ボロンガリウム」という新しい半導体ができます。この材料なら、半導体の中で中性子を捕獲し、そのまま電気信号に変換でき、情報のロスを大幅に減らした高精度な検出が期待できるのです。
「結晶」の壁
原理がわかっていても、デバイスに使える高品質な結晶を作るのは簡単ではありません。青色LEDも、理論上は1960年代にその可能性が示されていましたが、実用化には結晶成長技術の確立が不可欠でした。窒化ボロンガリウムの開発も同じ壁に直面しています。研究初期は表面が凹凸だらけの結晶しかできませんでしたが、温度や原料などあらゆる条件を地道に最適化し続けた結果、約10年をかけてマイクロメートル級の厚膜結晶の成長に成功しました。
この成果は、現在世界でトップレベルのデータです。試作デバイスでは中性子の検出信号も得られています。現在はイメージングセンサの開発や宇宙・原子力分野における過酷な環境での動作に向けた開発が進められています。
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