キノコは、地球温暖化と環境汚染を止める救世主!?

キノコは、地球温暖化と環境汚染を止める救世主!?

キノコのもの凄い分解パワー

「キノコ」と聞いて思い浮かぶのは、シイタケやエノキタケなど、食べるとおいしいキノコでしょうか。しかし、いわゆる「キノコ型」の姿は、キノコの一生の中では一時的なもので、本来は「菌糸」と呼ばれる糸状の形をしています。菌糸の姿のキノコは、木材を分解する「自然の掃除屋」として、自然界で重要な役割を果たしています。木材は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンで構成されています。中でも「白色腐朽菌」というキノコは、リグニンを分解出来る唯一の微生物であり、本菌特有の酵素系により、木材を完全分解しているのです。

バイオ燃料をキノコが生産

地球温暖化の勢いは止まらず、今世紀半ばの世界平均気温は、産業革命前より約1.7~2.6℃高くなると予測されています。石油燃料から、生物由来の原料で作るバイオ燃料に切り替えて、大気中のCO₂を増やさない社会を実現することは、急を要する課題です。これまでに、セルロースからエタノールを製造する技術の実証が行われていますが、コストなどの課題から本格的な普及には至っていません。そして今、キノコを使って、これまで未利用だった木材を分解し、エタノールやプラスチック原料、さらに次世代燃料である水素を作る研究が進められています。現在は一つ一つの酵素の働きを調べ、代謝経路を解析している段階ですが、十数年にはキノコが作った水素燃料で車が走るようになるかもしれません。

環境汚染物質をキノコが分解

化学物質は、使われると環境中に蓄積することがあります。例えば昨今使用量が増えている鎮痛剤に含まれる化学物質も、水環境を汚染しています。これからの社会では、化学物質を作ったり使ったりするときには、汚染を浄化する仕組みをセットで用意することが重要です。実はキノコはリグニンだけでなく、鎮痛剤などに含まれる化学物質も高い能力で分解することがわかっています。
私たちは、地球にやさしい技術を早急に開発しなければなりません。そのカギを握っているのは、キノコかもしれないのです。

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静岡大学 グローバル共創科学部 グローバル共創科学科 教授 平井 浩文 先生

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環境農学、応用生物化学

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メッセージ

できれば高校生のうちに、大学で何を学び、どのような力を身につけたいのかを考えた上で、学部・学科を選んでほしいです。実は私自身は何となく農学部に入学した人間でした。目的がないので勉強しないし、授業で聞いた内容も全く頭に残りませんでした。変わったのは3年生のときです。「博士号を取る」という目的を見つけたときから、学びの質ががらりと変わりました。目的のある学びは、めちゃくちゃ面白いです。あなた自身の目的を見つけ、大学での学びを実りある、面白いものにしてほしいです。

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