光合成から植物の「生きる力」を探る

光を浴びれば元気になる?
光合成と聞くと、植物は光をたくさん浴びるほどよく育つと思うかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。人間は、体調が悪いときには食事を食べきれないことがあります。植物も同じで、光を十分に使えないときがあります。そして、使い切れない光のエネルギーがたまると、体の中に活性酸素が生まれやすくなり、光合成の仕組みを傷つけ、ひどい場合には枯れてしまいます。植物は動いて環境から逃げられないからこそ、光や温度の変化に合わせて光合成を調節しながら生きています。植物にも、人間の体調のような「調子」があるのです。
植物の「個性」を光合成から見る
では、植物はどのように環境に適応しながら光合成を続けているのでしょうか。植物はクロロフィルなどで光を受け取り、そのエネルギーを光合成に使いますが、育った環境によって、その受け止め方や使い方も変わります。イネの場合、育ってきた光の強さにより、強い光を受けたときの傷つく程度や活性酸素のできる量が変化します。現在は、暑い環境と比較的涼しい環境で育てたイネを比べ、光合成の応答にどんな違いが出るのかが調べられています。
暑さに強い品種、寒さに強い品種など、植物にもそれぞれ「個性」があります。その違いを光合成から読み解くことで、どの植物がどんな環境に強いのかを詳しく知ることができるのです。
枯れにくい作物を未来へ
気候変動が進むと、高温や乾燥など、作物にとって厳しい環境が増えていきます。活性酸素がどのように生まれ、植物がそれを避けながら光合成しているのかが明らかになれば、枯れにくい作物づくりにつながると考えられます。また、イネで得られた知見が、小麦などほかの作物にも応用できるかもしれません。こうした研究は、植物が環境の変化にどのように対応して生きているのかを理解し、その力を食料生産に生かすことにつながります。光合成の研究は、気候変動に強い農業を支え、世界の飢餓問題の解決を導く可能性をも秘めています。
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福島大学 食農学部(※2027年4月 学部再編。現:食農学類) 准教授 高木 大輔 先生
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