みんな一緒、ではない? 「人の気持ちの読み取り方」

みんな一緒、ではない? 「人の気持ちの読み取り方」

人の気持ちを読み取る

おびえて震える肩や、嬉しさに高揚する声、怒り心頭に発する真っ赤な顔など、人の気持ちを読み取るときには、言葉だけではなく、体の動きや声のトーン、表情などの情報を統合してとらえることが重要です。子どもは4歳ごろから、直感的に人の気持ちを推測しています。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、人の気持ちを読み取ることが苦手な場合があります。細かい部分にだけ注意が集中し、全体をとらえにくい傾向があるからです。そうした子どもが人の気持ちを推測できるようになるのは、言語能力が発達してくる9歳ごろです。こうした状況から、ASDの子どもが人の気持ちを推測する際には、人が発するいくつかの情報を、発達した言語能力を用いて「文法的に統合」し、処理している可能性が指摘されています。

ASDの子どもに合わせた支援方法

従来、ASDの子どもに「人の気持ちの読み取り方」を教えるために、「このパターンのとき相手はこう思っている→だからこう応える」といった、状況と対応を結び付けるトレーニングが行われてきました。しかし、この方法では似たような違った場面での応用が困難です。そこで新たに考えられたのが、絵カードやワークシートを用いた、新たな支援方法です。この方法では、カードの絵を見ながら「誰が」「どんな顔で」「どんな動きをし」「どんなセリフを言っているか」を一つずつ抽出し、言語化してワークシートに記入します。その後、すべての情報を統合する支援をおこなって、「この人はどんな気持ち」かを推測していくのです。

お互いの情報処理方法の違い

「私とあなたの情報処理の方法は違う」という前提をお互いが理解することが、コミュニケーションをスムーズにする助けとなります。ASDの子どもは、こういった「お互いの理解」のすれ違いによって、生活上の困難に直面しがちです。誰にとっても暮らしやすい社会の実現に向けて、お互いの理解を深め、生活上の困難を少しずつ軽減する研究が進められています。

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福島大学 教育学部(※2027年4月 学部再編。現:人間発達文化学類)  講師 和田 恵 先生

福島大学 教育学部(※2027年4月 学部再編。現:人間発達文化学類) 講師 和田 恵 先生

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特別支援教育、発達心理学、教育心理学

メッセージ

障害のある人について知っていますか。多目的トイレを利用する車いすの人や、白いつえを使い点字ブロックの上を歩く人などを、見たことがあるでしょう。一方、見た目ではわからない、発達の障害がある人もいます。障害のある人たちの世界に触れ、関心を持ってもらえたらうれしいです。身近な映画やドラマ、漫画なども入り口になりえます。本学では、特別支援学校を視察する授業もあります。さまざまな人が生き生きと学び、毎日を過ごしている様子を知ると、今までよりも少し広い世界が見えてくるかもしれません。

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「新生福島大学宣言」で明らかにした、「福島大学の理念」は、(1)自由・自治・自立の精神の尊重、(2)教育重視の人材育成大学、(3)文理融合の教育・研究の推進、(4)グローバルに考え地域とともに歩む、を掲げています。特に、学生教育を重視し、全学年にわたる少人数教育、共通領域科目及び専門領域科目とともに、キャリア形成論などのキャリア創造科目を含む自己デザイン領域科目を新たに設け、さらに文理融合教育を進めています。