「自然」を活用したリハビリテーションで、心も体も健康に

「自然」を活用したリハビリテーションで、心も体も健康に

ストレスに対処できる「資源」

これまで医療やリハビリテーションでは、「病気の原因を追及し、リスクを取り除くことで健康になる」という考え方で発展してきました。しかし心身ともに健康で幸福を感じられる「ウエルビーイング」には不十分であるため、「健康に向かわせる要因」を見いだすという研究が注目されています。ストレスの要因に出会っても、解決するための「資源」がたくさんあれば、ウエルビーイングでいられるという考え方で、まずはその資源に気づくことが重要です。研究の中では、自然も健康やウエルビーイングに大きな影響力を持つとされている国・スウェーデンにならい、自然環境を活用した実践が行われています。

自然に触れ合う活動で

その内容は、学生や子どもたちが野原のような場所で自然に触れ合う活動をするというものです。ブルーベリーの収穫をしたり、近くの森で剪定(せんてい)された枝を使ったリースを作ったり、育てたハーブで飲み物を作ってお茶の時間でおしゃべりしたりすることもあります。子どもたちはのびのびと活動し、学生たちも花などの自然に愛着を持ちはじめ、それぞれの交流も楽しむようになります。これは「自然基盤リハビリテーション(Nature Based Rehabilitation)」のプログラム実践の1つで、参加者は「気分がよくなった」などストレス軽減の効果が見られました。

自然享受は権利

スウェーデンでは、ただ自然を楽しむ、享受するという権利が保障されています。前述のプログラムでも、例えば障害のある人が自立の度合いや意欲に応じて、自然とどう関わるかを多様な選択肢の中から自分で決めることができます。実際に、精神科にかかっていてプログラムに参加した人は社会復帰率が上がり、医療費削減にもつながったという実証もあります。
スウェーデンでは既に社会保障サービスとしてプログラムが位置づけられています。日本でも福祉や介護の現場で実践できる可能性はあると考えられます。

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先生情報 / 大学情報

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 教授 坂野 純子 先生

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 教授 坂野 純子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

精神保健学、障害者福祉学、健康社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

自分をウエルビーイング(心身ともに健康で幸福を感じられる状態)にする存在、資源はありますか? ただリスクを回避するだけでなく、自分や社会にとってのウエルビーイングを大切にしましょう。花に水をあげたり動物を育てたりして「自然」とつながると、自分を「提供する経験」になり、自然は目に見えて変化するなど手を掛けた分だけ応えてくれます。何事も「してもらうこと」を期待するのではなく、自ら「提供する経験」をすることで生きやすくなり、ウエルビーイングの実現につながるはずです。

岡山県立大学に関心を持ったあなたは

未来を教育する岡山県立大学は、保健福祉学部、情報工学部及びデザイン学部の主専攻を学ぶ縦糸と、学部バリアフリーで学ぶ副専攻の岡山創生学が横糸となり、未来を拓く人材像を編みだします。本学の教育理念である「人間、社会、自然」との関係性を重視して地域に貢献することは、予測不可能な未来社会で生きるための知・感性・技が磨かれます。自然の摂理を知ることにより、人間を理解し、情報化のみでは満たされない健全な社会が構築できるからです。いま胎動する地域創造への挑戦。本学でワクワクするような挑戦を試みませんか?