自分だけの道具で、毎日がもっと快適に

自分だけの道具で、毎日がもっと快適に

一人に合わせて「自助具」を作る

障害者や高齢者の「できない」を「できる」に、「やりにくい」を「やりやすく」するための個別カスタマイズされた道具に「自助具」があります。食事や着替え、趣味など、日常のさまざまな動作を自分の力で行えるようにサポートする道具です。ケアの現場では、本人や支援者らの手により、さまざまな工夫された自助具が作成されてきました。自助具は、使い手にとってはそれがあればやりたいことが「できる」、ないと「できない」という、非常に重要な道具です。そのような自助具の作成に3Dプリンタを活用することで、再現性高く、しっかりと綺麗に作成することができます。より多くの人の「できない」を「できる」に変えるため、自助具の3Dモデルを共有するウェブプラットフォームが構築されました。

誰でも使える自助具作成プラットフォーム

このプラットフォームは、誰でも自由にアクセスでき、必要なものの形や寸法を入力するだけで、道具の設計データを自動生成できる仕組みです。専門的な設計知識がなくても、実用的なアイテムが作れます。
例えば「座卓補高キャップ」は机の脚に装着する補助具です。買い替えで家具が変わることは認知症の方にとって混乱の原因になります。それぞれの机に最適なキャップを市販品に求めるのは難しく、3Dプリンタで作ることで個別の対応が可能です。障害者や高齢者だけでなく、成長に伴い机の高さが合わなくなった学生にとっても、快適な学習環境をつくるツールとなります。

できなかったことをできるようにする

近年、3Dプリンタで扱える素材が増えています。柔軟素材を使えば、出力物の後加工も可能です。握力が弱い人の食事を助ける「カトラリーホルダー」は、出力したものを折り、スプーンを挟み込んで固定します。
こうした取り組みは、デザイン・医療・エンジニアリングといった異分野の協力によって進められています。「できなかったことをできるようにする」ための道具作りとして、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献しています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京家政大学 社会デザイン学環 ※2026年4月設置予定  特任教授 林 園子 先生

東京家政大学 社会デザイン学環 ※2026年4月設置予定 特任教授 林 園子 先生

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デザイン学、感性情報学

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メッセージ

毎日の生活の中で、「ちょっと不便だな」と感じながらも、仕方なくそのままにしていることはありませんか? 実は、そんな小さな気づきが、多くの人を助けるヒントになることもあるのです。今は一人で解決できなくても、将来、知識や技術を身につけ、仲間に出会うことで、そのアイデアが形になる日が来るかもしれません。だからこそ、日常の中にある気づきを忘れず、大切にとっておいてください。それが、誰かの役に立つ「共有財産」になる未来へとつながっていきます。

東京家政大学に関心を持ったあなたは

東京家政大学は、明治14年、144年前に職業人(教員)養成校としてスタート。仕事を通して社会とかかわり、自分の生き方を真剣に考える堅実な女性を育ててきました。資格取得、専門教育への学生の満足度は外部調査で全国第一位を連続獲得。専門職に強い大学です。今までも、これからもこの姿勢を変える事なく「自分の力で夢をかなえ、自分の道をしっかり歩く女性」をていねいに支え続けます。