照明がつくる心と体のリズム

光が心と体に与える影響
私たちの生活は、光から大きな影響を受けています。例えば、白くて青みがかった蛍光灯の光は集中力を高め、活動的な気分を引き出します。一方で、暖かみのある電球色の光には、心を落ち着かせる効果があります。このような反応には、目の奥にある「ipRGC(内因性光感受性網膜神経節細胞)」という細胞が関係しています。青い光に敏感なこの細胞は、日中は活動を促す一方、夜遅くまで光を浴びると、睡眠のリズムを乱してしまいます。夜中までスマートフォンを見て寝つきが悪くなるのも、この細胞の働きによるものです。
乳幼児や高齢者の生活を光で支える
光の影響を特に受けやすいのが、乳幼児の目です。そこで保育施設では、時間帯や活動内容に合わせて照明の色や明るさを変える取り組みが行われています。例えば、お遊戯の時間は白く明るい光で元気を促し、昼寝や読書の時間には温かみのある光に切り替えて落ち着いた雰囲気をつくるなど、光のコントロールで子どもたちの生活リズムを整えています。こうした研究は、近年では高齢者施設にも応用されています。時間帯に合わせて照明を調整した結果、入居者の平均睡眠時間が約12%増加し、その影響からスタッフの仮眠時間も約46分延びたという報告があります。年齢や状況に応じて光を使い分けることで、人の健康や生活の質を支えることができるのです。
年齢や暮らしに合わせた光のデザイン
このように、光が生活環境に与える影響は大きいため、建築の分野では照明に関する指針が定められています。しかし従来の基準は成人を想定したもので、年齢ごとの違いは考慮されていません。現在では、LED照明の普及によって光の色や明るさを細かく調整できるようになり、年齢や生活スタイルに合わせた照明設計が可能になっていることから、今後は世代ごとに最適な光環境を整えることが必要です。光の力を理解し、より快適で健康的な空間をデザインすることが、これからの社会に期待されているのです。
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