異なる背景を持つ集団同士が、どうすればうまく付き合える?

社会的な集団にも「葛藤」がある
私たちは初対面で相手がどういう人かを認識する時には、無意識に「〇〇高校の」など、所属する集団の情報に頼っています。また自分という人間を認識する中でも、学校や会社以外に、男性、女性、日本人など所属する「社会的な集団」の特徴や価値観の影響を受けているといわれています。
「社会的な集団」は、賛成派と反対派といった意見の対立でも生じます。異なる集団が交流することになった時には、差別や葛藤が起こり、もめることも少なくありません。
いろいろな手法、さまざまな視点で
異なる背景を持つ集団同士が仲良くなるために、差別や葛藤の解決方法が研究されます。心理学では、対立や差別の元となる偏見を知る方法に「IAT(潜在連合テスト)」があります。例えば人は「男性」という言葉に対して「仕事」という言葉のほうが「料理」より近い感覚を持つことがあります。この感覚は「男性は仕事をするものだ」という偏見と関連していて、IATではそうした言葉の結びつきを反応時間の速さなどから測ることができます。そのデータを基に差別的な発言の心理的メカニズムが明らかになると、集団同士がうまく交流するためにどうすればよいかが見えてきます。
他にも、観察やインタビューなどの調査が行われることもあります。祭りなど具体的な現象や行動を見ながら、生活習慣や方言、文化の形成に目を向け、集団の構造について分析が行われています。
災害支援に生かす
被災地の調査の中では、避難者と地元住民、双方のメンタルヘルスの測定も行われています。避難が長期間に及ぶ場合、避難者はもちろん、避難者を受け入れようとする地元住民もしんどさを抱えていることが明らかになりました。その結果を受けて、WHO(世界保健機関)が、受け入れ側への心理的なケアの必要性についても取り上げ、実際の災害支援に生かされています。このように調査をする中では、集団の心理などを解明するだけでなく、課題解決に役立てるなど社会へのフィードバックも大切なのです。
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