人は「環境」で変わる? 健康との意外な関係

「できない」のは本当に努力不足?
「運動しなさい」と言われても、やる気がないわけではないのに、なかなか続かないことはありませんか。実は、人の健康や行動は、その人だけで決まるものではありません。例えば、運動があまり得意ではない人でも、友だちと歩数を競うスマホアプリをきっかけに歩くようになることがあります。最近では、歩くことでポイントがたまったり、仲間と記録を共有できたりする仕組みも増えています。このように、人とのつながりや環境の工夫によって、行動は自然と変わっていくのです。
「やせたい」という気持ちは、どこから来るの?
「やせたい」と思う気持ちも、自分だけで生まれているわけではありません。本当は気にしていなかったのに、周りと比べる中で気になり始めることもあります。例えば、友だちと写真を撮った時や、SNSで「細見え」という言葉を見た時に、自分の体型が気になることはありませんか。さらに、加工された画像や理想的な体型を日常的に見続けることで、私たちは知らないうちに「こうあるべき」という価値観を刷り込まれていきます。その結果、「もっとやせたほうがいいのでは」と感じることがあります。つまり、「やせたい」という気持ちも、個人だけではなく、人との関係や社会の価値観の影響を受けているのです。
環境に注目する健康づくり
健康づくりを「本人の努力」に頼るだけではなく、自然と健康になれる環境を整えることも大切です。その考え方は、高齢者の「フレイル(加齢に伴い筋力や心身の活力が低下した状態)」の予防にもつながっています。例えば、ショッピングモールにベンチを増やしたり、人と自然に会話できる場所をつくったりすると、高齢者が外出しやすくなります。自治体の中には、地域活動への参加を後押しする取り組みを行っているところもあります。このように、「人を変える」のではなく、「環境や社会の仕組みを変える」ことで、誰もが自然と健康に暮らしやすい社会に近づいていくのです。
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順天堂大学 国際教養学部 准教授 吉澤 裕世 先生
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