青果物の生産から流通までを考える

青果物の生産から流通までを考える

多くの実をつけるイチゴ

農家の高齢化や離農、夏の酷暑など、農業を取り巻く課題は山積みです。農業を守るには、農家が安定して生産できる技術開発や環境を整える必要があります。そのためのアプローチの一つが、収量の多い品種を作り出すことです。イチゴの場合、ほかより多くの実をつける品種「紅ほっぺ」は、葉が大きく、水や養分を吸収する根が多いのが特徴です。つまり「たっぷり養分を吸収できる根を持った、体格のいいイチゴ」に、多くの実がつくことがわかってきました。現在、実の多い個体を見つける目印(バイオマーカー)として、根の発達にかかわる遺伝子の発現に注目した研究が進められています。

夏にイチゴを実らせる

夏から秋にかけて、イチゴはほとんど収穫できません。高温や強い光のストレスにさらされると、イチゴは花をつけなくなるからです。しかし、ケーキやジャムなどの材料として、イチゴの需要は一年中あります。研究の結果、夏に花を咲かせるにも、やはりイチゴの体を大きくすることが重要だとわかりました。そのためには、光合成の材料となる二酸化炭素を多く与える必要があります。しかし、夏のハウスでは、温度を下げるために窓を開けなければならず、二酸化炭素を与えても外に漏れ出てしまいます。このジレンマを解消するために考え出されたのが、株元だけに二酸化炭素を与える、新しい栽培技術です。研究段階でも、イチゴの体が実際に大きくなり、夏にも実がつきました。

保存技術も重要

日本のおいしい農産物の輸出や、フードロスの削減のためには、収穫した後の包装や保存などにかかわる技術開発も必須です。例えばカット野菜の包装には、鮮度を保持する特殊なフィルムが使われています。夏が収穫期のブルーベリーを生で食べられる期間はわずかですが、表面をオゾンガスで殺菌すると、3カ月間カビを生やさず保存できました。季節に関係なくおいしいイチゴやブルーベリーを食べられたり、果物の輸出を増やしたりできる未来は、そう遠くないのかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

茨城大学 農学部 地域総合農学科 応用植物科学コース 講師 望月 佑哉 先生

茨城大学 農学部 地域総合農学科 応用植物科学コース 講師 望月 佑哉 先生

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園芸学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が農学部をめざしたのは、実家がイチゴ農家だったからです。植物や生物のおもしろさに引かれ、家業を継ぐためにイチゴ栽培の研究ができる大学を探しました。農家になりたいという思いが、勉強のモチベーションだったのです。あなたがまだ何を勉強したいのかを絞り込めていないなら、「自分は何が好きか」を考えてみてください。果物が好き、家庭菜園で野菜を作るのが楽しかったなど、なんでもいいです。あなたが食べることや植物に興味があるなら、園芸学はとてもおもしろい分野だと思います。

茨城大学に関心を持ったあなたは

茨城大学は、人文社会科、教育、理、工、農、地域未来共創学環の5学部1学環からなる国立の総合大学です。本学の特色である「プラスIプログラム」は、どの学部・学環でも「サステイナビリティ学」「数理・データサイエンス・AI」「アントレプレナーシップ」「グローバルコミュニケーション」といった多様なプログラムから選んで「もうひとつの力」を身に付けられます。また3年生の秋シーズンには「iOPクォーター」があります。必修科目を原則的に開講せず、海外研修やインターンシップなどの学外活動に取り組むことができます。