現実世界をデジタルに変えるセンシングの世界

ものづくりを支える「測る技術」
私たちの身の回りにあるスマートフォンやディスプレイ、精密機械などは、非常に高い精度で作られています。こうした製品を作るためには、部品の大きさや位置を正確に測る技術が欠かせません。そこで活躍するのが、光や磁気、振動などを利用して物体の状態を検出し、デジタルデータとして取り出す「センシング技術」です。例えば工場の生産ラインでは、イメージセンサによって部品の位置を測ったり、わずかな傷や異常を見つけたりする装置が使われています。肉眼では見分けることが難しい微細な違いも、センサとコンピュータを組み合わせることで正確に検出できるのです。
センサの開発でコスト削減
センシングでは、対象となる物体や検査・計測の目的によって、最適な方法を見つけることが重要です。例えば液晶パネルの検査では、畳1枚から6畳分ほどの巨大なガラスが数十秒で流れる生産ラインで、全画素を10μm以下の分解能で検査する必要があります。従来の技術では多数のカメラが必要でしたが、半数のカメラで同様の精度を出せるイメージセンサが開発され、大幅なコスト削減が実現できました。ほかにも、円筒の内側の直径を高精度で測るために、内部に小さな球を入れて振動させ、その共振の変化から大きさを測る方法などが開発されています。
センシングの未来
どれほどAIが高度化しても、現実世界の情報をコンピュータに届けるセンシングの役割は不可欠です。近年、注目されているのが、センシング端末でデータを処理する「エッジコンピューティング」です。従来はAIを使うためには大型コンピュータに大量のデータを送る必要がありましたが、処理能力の向上により端末側で処理できるようになってきています。少数の半導体を作製できる環境も整備されてきており、独自のセンサ開発もより身近になってきました。
センシングの活用範囲は今後ますます広がり、AIを生かす「入り口」として、これからの社会を下支えしていくのです。
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