英文法にも流行がある? 関係代名詞の歴史を探る

英文法にも流行がある? 関係代名詞の歴史を探る

英文法は変化してきた

現代の英語には文法というルールがあります。英文法には例外のない厳格な規則がある一方で、文脈によっては多様な表現が許容される場合もあります。英語の歴史をたどると、現代の英文法で当たり前とされている規則の多くが、過去の時代には必ずしも当てはまらないことがわかり、英文法が時代とともに変化してきたことが見えてきます。

関係代名詞「which」の歴史的変化

具体例として、関係代名詞「which」の歴史を見てみましょう。16世紀末から17世紀初頭に活躍した劇作家ウィリアム・シェイクスピアの作品には、whichに加えて、今では使われない「the which」という形が見られます。
しかし、同じ時代の劇作家ジョン・フレッチャーは、作品の中でthe whichを一度も用いていません。実はthe whichは、シェイクスピアの時代にはすでに衰退しつつあった古い言い方でした。フレッチャーがこの表現を使わなかったのは、シェイクスピアよりも年少で、より新しい言語感覚を持っていたためだと考えられます。
その後、the whichはほとんど使われなくなり、姿を消していきます。そして現代英語の文法では、関係代名詞としてはwhichのみが用いられています。

関係代名詞の使い方が作者特定の手がかりに?

関係代名詞の使い方は、作者を特定する手がかりにもなります。シェイクスピアとフレッチャーは、共同で書いたと考えられている作品をいくつか残していますが、それぞれの作品のどの部分をどちらが書いたのかについては記録が残っていません。
そこで手がかりとなるのが、whichとthe whichの使い分けです。調査の結果、the whichはシェイクスピアが書いた可能性が高いとされる箇所にのみ現れることが明らかになりました。つまり、関係代名詞の使い方が、従来の作者推定を裏づけたのです。
このように、英語史の知識は文学作品の分析にも活用されており、分野を越えた学際的な研究が進められています。

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専修大学 文学部 英語英米文学科 准教授 菊地 翔太 先生

専修大学 文学部 英語英米文学科 准教授 菊地 翔太 先生

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英語史、歴史社会言語学、コーパス言語学

メッセージ

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