未来の医療を変える超微細なマイクロRNAを探れ!

未来の医療を変える超微細なマイクロRNAを探れ!

マイクロRNAでがんを知る

近年、がんは遺伝子検査によって早期発見できるようになりました。がんは遺伝子の異常による病気であり、がんの発生や進展にマイクロRNAが重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。マイクロRNAは2,000種類以上あることが知られており、メッセンジャーRNAがタンパク質へ翻訳されることを阻害することでタンパク質の作りすぎを調整し、細胞内のバランスを整えています。細胞ががん化すると特定のマイクロRNAが増えるような特性があります。尿や血液、唾液といった、体液に出現するがんに特徴的なマイクロRNAを検出することで、がんの有無やステージの判別が可能になってきています。

新しい治療やがん抑制も可能に

細胞外に出現するマイクロRNAは、細胞から放出されるエクソソームといわれる細胞外小胞の中にあります。エクソソームは直径約100ナノメートルと極小の、脂質の二重膜に包まれたカプセル状の物質で、RNAやタンパク質などの情報をほかの細胞に運ぶ役割があります。温度変化やpH検査に強く、安定性が高いため、医療に使いやすいことが実証されています。
エクソソームはあらゆる体液に存在し、レセプターを用いて別の細胞に入り込み、機能を変化させたりします。これを利用して、ターゲットの細胞に薬を届け、がん細胞を抑制するといった活用が期待されています。

動植物のエクソソームで未来へ

エクソソームやマイクロRNAは、未解明な点が多く、研究途中の分野です。分子生物学的に解明されれば、認知症や脂肪肝炎といった、がん以外の疾患の早期発見や、特定の場所に印をつけるバイオマーカーとしても利用可能となるでしょう。
エクソソームは動植物にも存在し、例えば身近な牛乳にも大量に含まれています。食べ物由来のエクソソームを活用すれば、消化器官系に良い効果をもたらすことや、がんの抑制に役立つかもしれません。エクソソームやマイクロRNAは、未来の医療を変える可能性が大いにあるのです。

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先生情報 / 大学情報

弘前大学 医学部 保健学科 検査技術科学専攻 准教授 千葉 満 先生

弘前大学 医学部 保健学科 検査技術科学専攻 准教授 千葉 満 先生

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ゲノム生物学、分子生物学、病態医化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

臨床検査技師は、血液や尿といった検体検査、心電図や超音波、MRIなどの生体検査を行い、データを測定・分析して病気の診断や治療を支える専門職です。チーム医療に欠かせない存在で、この検査結果がないと、医師は正確に診断できません。分子レベルの物質は目に見えませんが、数値や画像をもとに、どう理論立てて検証するかが、この仕事の面白さの一つです。年々需要は高まり、研究開発が活発で、技術は飛躍的に伸びています。医療に興味があるなら、ぜひ臨床検査技師も選択肢に加えてください。

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弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
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