児童虐待から子どもを守り、親子関係も守る法律の仕組みとは

児童虐待から子どもを守り、親子関係も守る法律の仕組みとは

親子に、どこまで介入?

児童虐待が疑われるとき、児童相談所などが関わります。ただし、親には子どもを育てる権利義務である「親権」があり、親子を簡単には引き離せません。しかし親が同意しない場合でも、児童福祉法28条によって、裁判所による承認があれば子どもを施設などへ保護することができます。ただ、親から子どもを引き離す判断や親権の制限については、慎重に考えなければなりません。なぜなら、公的な介入が強すぎれば、必要以上に親子関係を破壊してしまうことになり、反対に適切な介入がなければ、最悪子どもの命が危険にさらされるからです。子どもの安全を守りながら、親子関係に必要以上に立ち入らない制度が求められます。

どんどん介入すれば良いのか?

「虐待をするような親なのだから、親子へどんどん介入していくべきだ」と考える人もいるでしょう。特に、実際に虐待を受けて育ってきた人からすれば、「あんな親には一切関わってほしくない」と思うかもしれません。しかし現実には、子どもが保護されたにもかかわらず、裁判所が虐待の事実を認めなかったケースも存在します。その場合、親子が引き離されてしまった時間は戻ってきません。また、裁判所が、虐待はあったと認めたものの、「そこまでの介入は行き過ぎ」と判断したケースも存在します。

必要な部分だけ親権を制限できないか?

現在の民法では、親権を制限する方法として、親権喪失や親権停止があります。親権喪失や親権停止になると、期間の差はあるものの、原則としてすべての親権が使えなくなります。一方、児童福祉法28条に基づいて子どもを施設などに預けた場合、制限される親権の範囲がはっきりしません。そのため、法を改正して、親権の制限すべき部分だけを明確に制限することが望まれます。公的介入が行き過ぎることを防ぎながら、子どもの命もしっかり守れるような、バランスの取れた法のあり方が求められます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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茨城大学 人文社会科学部 法律経済学科 法学・行政学メジャー 教授 髙橋 大輔 先生

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メッセージ

もしも今、この講義を見ている人が、親などから虐待を受けているなら、一人で抱え込まずに助けを求めてください。児童相談所虐待対応ダイヤルである「189」に電話すると、管轄の児童相談所につながります。友達から相談を受けたりしたときも、専門の機関に相談することで助けられるかもしれません。虐待を受けている人は、自分が虐待を受けていると認識していないこともあります。虐待から逃げて、家を出た結果、非行につながってしまう場合もあります。証拠がそろっていなくても大丈夫です。まずは一度相談してみてください。

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茨城大学は、人文社会科、教育、理、工、農、地域未来共創学環の5学部1学環からなる国立の総合大学です。本学の特色である「プラスIプログラム」は、どの学部・学環でも「サステイナビリティ学」「数理・データサイエンス・AI」「アントレプレナーシップ」「グローバルコミュニケーション」といった多様なプログラムから選んで「もうひとつの力」を身に付けられます。また3年生の秋シーズンには「iOPクォーター」があります。必修科目を原則的に開講せず、海外研修やインターンシップなどの学外活動に取り組むことができます。