夏のスーパーに冬が旬のミカンが並ぶのは

夏のスーパーに冬が旬のミカンが並ぶのは

先進国の端境期を狙って輸出

ラテンアメリカの国々は貧困のイメージを持たれがちです。しかし、ペルーのリマやブラジルのサンパウロ、チリのサンティアゴなど、主要都市の暮らしは日本とそう変わりません。むしろ野菜や果物の輸出により、日本より豊かな生活をしている人もいます。それも、単に価格で勝負しているのではなく、先進国の収穫の端境(はざかい)期を狙って輸出しているのです。例えば、日本でのアスパラガスは主に春が旬ですが、12月初旬にメキシコ産、年明けにペルー産が輸入されています。近年、夏のスーパーに並ぶようになったミカンもペルー産です。

付加価値で収益アップ

果物の輸出が成功した理由の一つに、検疫の強化があります。ペルーでは裕福な輸出業者たちの出資により職員の海外派遣や検査機器の導入を行う一方、各国の国際食品見本市に出品し、産品のプロモーションにも取り組んでいます。本来は国が主導すべきなのですが、ラテンアメリカの各国政府には余力がなく、輸出業者が自分たちで何とかするしかなかったのです。さらに、児童労働の撤廃や適切な給与制度、環境認証といった仕組みも整備しています。こうした状況は商品の付加価値となり、同じ物でもより高く売れるようになるのです。

レアアース供給国としての期待

ラテンアメリカの国々は、もともと工業化を図っていたものの、1980年代に失敗し、そこから10年にわたり経済停滞に陥りました。これを「失われた10年」と呼び、日本の「失われた30年」の由来にもなりました。結果、ラテンアメリカの国々は鉱物資源や原油、農作物といった一次産品の輸出に頼ることになったのですが、見方を変えれば自分たちの資源を生かして戦う方法を見い出したとも言えます。
ラテンアメリカの国々には、まだ活用されていない農業資源がたくさんある一方、リチウムといったレアアースの供給国になる可能性もあります。特に「リチウムトライアングル」と呼ばれるアルゼンチン、ボリビア、チリの採掘には、多くの国が期待を寄せています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

同志社大学 グローバル地域文化学部 アメリカコース 教授 清水 達也 先生

同志社大学 グローバル地域文化学部 アメリカコース 教授 清水 達也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地域研究、比較政治学、開発経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本にいるとラテンアメリカに触れる機会は少ないですが、どの国にも豊かな文化があり、日本人の常識とかけ離れた世界が広がっています。例えば、「ガストロミーのキャピタル」と言われるペルーのリマにはおいしいものがたくさんあり、バラエティ豊かな食べ物が市場に並んでいます。スペイン語さえできればどの国に行っても通じるところもメリットです。今の時代、英語を身につけている人は珍しくありませんが、スペイン語を扱えるとなると、ほかの人にはない強みになるでしょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

同志社大学に関心を持ったあなたは

同志社大学は14学部34学科16研究科・学生数約29,000人を擁する総合大学です。2025年に創立150周年を迎え、さらなる教育・研究改革を進めています。
教学面においては、今出川・京田辺の両校地で年間約12,270の科目・クラスを開講し(2025年度)、そのうち14学部共通で学べる「全学共通教養教育科目」を約3,300科目・クラス設置しています。さらには、他大学との単位互換制度や副専攻制度を設置するなど、学生の興味・関心に合わせて自由に学ぶことができる充実した学習環境を整えています。