創薬はブロック遊びから? 分子の形をデザイン

創薬はブロック遊びから? 分子の形をデザイン

薬が効くためには、何が決め手になるの?

多くの薬は分子でできており、私たちの体もまた同様です。薬が効くかどうかは、薬である分子と標的分子の相互作用によるもので、お互いがどこに、どうくっつくかによって決まります。つまり「創薬」では、標的分子の形に合うように設計・デザインした分子を作ることが重要です。現在、簡単な構造を持つ、手に入りやすい分子はたくさんありますが、治療薬としての限界が見え始めています。より多くの病気を治すためには、これまでにない新しい形の分子の開発が待たれているのです。

そっくりの形にだまされるな

薬の形を考えるときに注意が必要なのは、「鏡像異性体」の存在です。鏡像異性体は、同じ原子、結合の種類でありながら、鏡に向き合うように、互いに重ね合わせようとしても重ならない分子です。例えば歯磨き粉などに入っているスーッとするメントールにも鏡像異性体があり、ある異性体は良い香りですが、別の異性体は不快な匂いがします。
鏡像異性体は人体に害を及ぼすことがあるため、薬として役に立つ異性体だけを選択的に作る方法を開発しなければなりません。そこで新しく開発された触媒を不斉反応に用いて、鏡像異性体の片方を優先的に作り、さらに、これまで難しかった「第四級不斉炭素」を作り出すことに成功しました。

4つの手が新たな薬の可能性を開く

「第四級不斉炭素」とは名前が示すように異なる4つの手を持つ炭素です。4つの手それぞれに異なる形を作ることができるので、標的分子の”ねらった場所”にくっつく分子を作ることができるというわけです。病気の原因となる標的分子に対して効果的に相互作用する4つの手の形を調査し、医薬品の開発につなげます。現在、第四級不斉炭素をもつスクシンイミド誘導体を効率良く作ることができるため、効果を検証するスクリーニングも数多く行え、開発がより速く進むと考えられます。自由に分子の形を考える様子は、まるで子どものころに遊んだブロック玩具のようです。そんなきっかけから新しい薬が生まれるのです。

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先生情報 / 大学情報

山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部​​​ 薬学科 講師 田村 雅史 先生

山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部​​​ 薬学科 講師 田村 雅史 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

有機合成化学、構造生物学、天然物化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

身近な物や現象に興味を持ったとき、スマホで検索するのもいいですが、そこからさらに一歩踏み込んで自分の目でよく観察し、自分で調べたり、考えたりする意識を持ってほしいです。例えば、見たことのない鳥を見つけたら、どういう種類の鳥かだけではなく、どの時期に来るのか、何を食べているのか、スズメとは仲がいいのかなどを調べたり考えたりしてみましょう。ネットの情報をうのみにせず、多角的に考えてみてください。自分で分子を自由に作れる有機合成化学の分野では、そんな意識を持つあなたを待っています。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

山陽小野田市立山口東京理科大学に関心を持ったあなたは

山陽小野田市立山口東京理科大学は「確かな基礎教育」を掲げ、基礎学力を育成する体系的な教育を行っています。2016年4月、公立大学法人へと移行、2018年4月西日本初の公立の薬学部を設置し、工学部・薬学部の二学部体制となりました。東京理科大学の姉妹校として、基礎学力を重視した実力主義の教育を受け継ぎ、工学・薬学の専門的な学術を教育・研究するとともに、地域産業界・医療界で活躍する人材を育成します!