SNSで偏らない「おすすめ」は可能? 数学で導く組合せ最適化

SNSで偏らない「おすすめ」は可能? 数学で導く組合せ最適化

身近な問題も数学的枠組みで解決

宅配便の配送ルートを効率よく決める仕組みや、学校の時間割作成、病院での看護師のシフト管理など、これらすべては、「組合せ最適化」という数学的な枠組みで解決することができます。製造業や物流分野など応用範囲は広く、情報科学と離散数学を基盤とするこの手法は1950〜60年代から研究が始まり、近年はAIとの融合など新たな広がりを見せています。

似すぎは回避

「組合せ最適化」は、TikTokやインスタグラムのレコメンド機能にも活用できます。「おすすめ」としてコンテンツが表示されるのは、便利である一方、いつの間にか似たようなコンテンツで画面が埋まってしまい、退屈になるという問題があります。そこで、「組合せ最適化」を使って、利用者の関心に基づきつつも、似すぎないコンテンツを組合せて提示する技術の研究が進んでいます。インターネットで公開されている情報の関連性をグラフで表した巨大なデータネットワーク(ナレッジグラフ)を構築し、関連性が高く、かつ「多様性」のあるコンテンツを提示するのです。例えば、進路相談で「音楽に興味がある」と言ったときに、音楽大学だけを勧められるのではなく、音響工学、メディア学、法学(著作権法)といった多様な選択肢を教えてくれるイメージです。

「なぜ?」が答えられる推奨システム

この技術では、1000万規模のデータでも0.1秒以下で処理が完了します。また、推奨精度への理論的な保証があり、コンテンツのつながりをデータネットワーク上でたどることで推奨の根拠が答えられるという特徴があります。SNS以外にも、大規模で複雑なウェブサイトのナビゲーションの改善や、「名前は思い出せないけれど、関連することなら覚えている」という状況でのファイルなどの検索機能へも応用が進められています。情報があふれる現代において、効率良く確実に「本当に必要なものに出会える」仕組みとして注目されています。

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静岡大学 工学部 数理システム工学科 准教授 呉 偉 先生

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メッセージ

現実社会のほとんどの問題は正解がなく、「最も良い答え」を多くの選択肢の中から探すことが求められます。また、最短の近道が最善とは限りません。高層ビルのエレベーター渋滞を解決したのは、最適化の計算ではなく、「鏡を置く」というアイデアだったというエピソードがあります。数学的に最良の解を追い求めながらも、視点を変えると思いがけず解決策が見つかることもあるのです。答えにたどり着くまでの過程を楽しみ、多様な可能性に目を向けましょう。それが、将来の大きな武器になるはずです。

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静岡大学は、7学部を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学の理念は「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。
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