Y染色体は退化している! 消滅を回避する性染色体サイクルとは

Y染色体はなぜ退化する?
生物の性別を決定する性染色体は、進化の過程で常染色体が性決定遺伝子を得て変化したものです。常染色体が性染色体になると、安定して性決定を行うために、XーY染色体間の組み換えは抑制されます。組み換えには有害な変異を除去する役割があるため、組み換えしなくなったY染色体には有害変異(例えば遺伝子が失われるような変異)が排除されずに蓄積されていきます。これがY染色体の退化です。
一方、Y染色体にはオスになるための遺伝子や精子を作る遺伝子が存在します。これらの遺伝子を失うと性、ひいては種の存続が危うくなります。そのため、Y染色体は退化はするが消失することはできないとする「性染色体進化の袋小路仮説」がこれまでは支持されていました。
性染色体は入れ替わる
一方、ゲノム解析技術の進歩により、性染色体は生き物によって多様で、特に魚類や両生類では性染色体と常染色体が短い期間で入れ替わっていることが明らかになってきました。また、共通の性染色体を持つとされてきた哺乳類においても、アマミトゲネズミにおいて性染色体の入れ替わりが発見され、常染色体だと思われていた第三染色体が新しい性染色体になっていることがわかったのです。つまり性の存続を理解するには、性染色体の進化を従来の「袋小路」ではなく、性染色体と常染色体が入れ替わる「性染色体サイクル」としてとらえる必要があります。
Y染色体の毒性
性染色体が入れ替わるメカニズムや性染色体サイクルの存在意義を明らかにするため、サイクルの各段階について多角的な研究が始まっています。
その一つがショウジョウバエを使った研究です。ショウジョウバエの仲間には、退化したY染色体を持つ個体とY染色体を失った個体が混在する種がいます。退化したY染色体にはほかの遺伝子を破壊する可能性のある有害なトランスポゾン(動く遺伝子)が蓄積しています。この「Y染色体の毒性」がY染色体の消失を促進するか、つまりサイクルを進める要因となるのか、が調べられています。
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