「深く読む」体験が、国語の授業を面白くする

ただ「読む」だけでなく
国語の授業で文学作品を読むとき、大切なことは何でしょうか。あらすじを理解する、登場人物の心情を読み解くといったことは、もちろん欠かせないことです。しかし、それだけでは表面的な理解にとどまってしまい、自分自身の心に響く体験にはつながりにくいものです。自分なりの気づきや、より豊かな学びを得るためには、もう一歩踏み込み、「深く読む」ということが必要です。
作品を通して「自分」を見つめる
高校で教材として使われることの多い『山月記』を例に考えてみましょう。この物語では、主人公の李徴が、自分の才能のなさが露呈することを恐れ、あえて本気で努力することを避けるという場面が出てきます。
これを読んで、あなたはどう感じるでしょうか。李徴に共感するのか、もしくは反発を覚えるのか。そこからさらに「なぜそう感じたのか」を自分に問い返してみましょう。すると、李徴のような弱さやずるさが自分の中にもあることに気づいたり、反発の裏に自分の強さや信念を発見したりするはずです。
このように、作品を読んで「李徴がどんな人物か」を理解していくと同時に、自分という人間についてもひも解いていくことが、「深く読む」ということです。
国語を学ぶ意味とは
「深く読む」体験をするには、「読んで何を感じたのか」「なぜそう感じたのか」と問いを立てることが重要です。人は問われて初めて自らの内面を見つめ、思考を深めることができるからです。一人で本を読むのとは違い、授業では「発問(課題)」によってクラスメイトと意見を交わします。自分とは違う考えや多様な反応に触れることで、読書体験はより豊かなものになります。そして、読むことを通して、自分と他者、さらには社会や世界を知ることは、新たな興味や気づきにつながり、自らの生き方を変えるきっかけになることもあります。
そんな心揺さぶられる授業にこそ、国語を学ぶことの面白さや価値が詰まっているのです。
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高知大学 教育学部 学校教育教員養成課程 国語教育コース 講師 辻󠄀 尚実 先生
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