遠くの場所や人びとについて知ることで、自らを見つめ直す

社会学と歴史学で海外地域を研究
国や地域についての研究は、「○○学」という枠に収まりきらないものが多くあります。人間の活動や感情、考え方にはいろいろなものが影響しているため、研究する際もいろいろなアプローチを組み合わせる必要があります。例えば、一つの国の社会状況を見ていく際には、現状を調べるだけでは足りません。概念や構造を分析する社会学の観点に加え、どのような歴史的経緯や文脈、人びとの経験があるのかという、歴史学的な視点も必要です。
歴史はアイデンティティに影響する
イギリスとアイルランドは、相互に分かちがたい関係にある国々です。アイルランドは何世紀にもわたりイギリスの植民地支配下にあり、アイルランドが独立した際、北部だけがイギリス領に残ったという複雑な歴史があります。こうした事象はその地に住む人びとのアイデンティティに影響するため、アイルランドやイギリスの人たちの今を知る上でも、彼らの歴史を知る必要があります。
これは何も、遠い欧州の国の話に留まりません。日本にも北海道のアイヌ先住民や沖縄などの周縁化されてきた人びと・地域があります。歴史が生むアイデンティティの問題は、日本に暮らす私たちにも通じるものがあります。自分たちの課題を真正面から受け止めるのは難しいものですが、グローバルな視点から地域について研究することによって、自国についても考えることができるのです。
「知らない」ことが他者への差別を生む
欧州で長年議論されてきた「移民問題」が、昨今、日本でも大きく話題にされるようになってきました。マイノリティの問題とされている事柄は、実はマジョリティの問題であると言えます。マジョリティ側の「当たり前」が、よくわからないマイノリティによって壊されることへの不安や恐怖が、差別などの問題へとつながっているためです。「差別は良くない」と言ったところで差別はなくなりません。しかし、なくならない理由を知ろうとすることはできます。「当たり前」を疑い、知ろうとし続けることが大切なのです。
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同志社大学 グローバル地域文化学部 グローバル地域文化学科 ヨーロッパコース 教授 尹 慧瑛 先生
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