日本語の「ている」は表現力豊か 奥深い言語の世界

現在も過去も表す「ている」
日本語で「彼は手紙を書いている」という表現は、今まさに書いている最中であることを表します。一方、「窓が開いている」は、窓を開ける動作そのものではなく、開いた結果の状態を表しています。また、「彼は小説を3本書いている」と言うと、過去の経験を表すことがあります。このように日本語の「ている」という表現には複数の意味があり、私たちは文脈から推論しながら解釈しています。
英語の進行形とどう違う?
では、英語と比較するとどうでしょう。日本語の「ている」は、英語の現在進行形に対応すると習います。しかし、「He is dying.」は、ある出来事に向かう過程を表す表現で、日本語の「死んでいる」とは意味が異なります。「He is building a house.」は、工事が始まる前から言える場合がありますが、日本語の「彼は家を建てている」は、すでに建て始めていないと成立しません。また、英語の完了形「He has eaten ...」は食べ終わった状態を示しますが、日本語の「彼は食べている」は食べ始めていて、まだ終わっていない状態を表します。
つまり、英語が進行形と完了形に分けて表す意味を、日本語の「ている」は一語で表すことがあります。さらに、「始まってはいるけれどまだ終わっていない」という「未完結の完了」と言える機能を持っているのです。
言語の多様性に触れる
こうした言語現象を、実際の使われ方に即して比較分析するのが、言語学の中の「形式意味論・語用論」という分野です。普段何気なく使っている「ている」という言葉一つでも、客観的に観察してみるとこれほど豊かな意味が潜んでいることに気づかされます。
そして、日本語と英語だけではなく、世界のさまざまな言語に目を向ければ、多様な表現の仕方やとらえ方に触れることができます。それは、自分の中の当たり前を問い直すことにもつながります。
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