イネが温暖化を抑制する? 農業と気候の関係を解き明かす

イネが温暖化を抑制する? 農業と気候の関係を解き明かす

気候変動で農業が変わる

農業は、気象と深く結びついています。気温や雨、日照などの条件は、植物の育ち方や収穫量、品質に大きく影響します。近年の猛暑では、米が白く濁って等級が下がるといった「高温障害」も多く発生しています。サクランボのように、温暖化によって収穫量が落ちていると推測される作物もあります。
一方で、これまで地域によっては気温が低すぎて栽培できなかった作物が、育てやすくなる可能性もあります。気候変動は農業に一方的な悪影響を与えるだけでなく、作物や地域によってさまざまな変化をもたらすのです。

最適なイネの根を研究

気候が農業に影響するだけでなく、農業の営みが気候変動に影響を与えることもあります。注目されるのが、空気中の二酸化炭素を取り込み、その炭素を土の中に蓄えるという植物の働きです。イネも光合成によって二酸化炭素を取り込み、炭素を地中に送っています。もし土の中に炭素を長くためることができれば、大気中の二酸化炭素を減らし、温暖化の緩和につながる可能性があります。イネは種類によって根の形や太さ、量が異なることに着目し、どのような根が効率よく・安定して炭素を地中にためられるのかを解明する研究が進められています。

気象予測技術で効率化

気象は農業にとって最も大きな制約です。砂漠では水がなければ作物は育たず、寒い地域で温かい土地の作物を育てることは困難です。しかし裏を返せば、気象と作物の相性がうまく合えば、気象は農業を後押しする力にもなります。気象データをもとに作物の育ち方を予測し、いつ種をまき、いつ収穫するのが最適かを分析する研究も進んでいます。こうした研究は、気候変動への対策を示すことにも役立つと同時に、農家の数が減り、農家1戸が管理する田畑が広がり続ける中で農業を効率化するための力になります。気候変動が進む中でも食料を守り、農業生産を増やしていくために、気象と植物の関係を解き明かす研究はこれからますます大切になっていきます。

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岩手大学 農学部 地域環境科学科 革新農業コース 助教 舛谷 悠祐 先生

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農業環境工学、作物生産科学

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