捨てられるチョウザメの臓器から医薬品を ペプチドの可能性

捨てられるチョウザメの臓器から医薬品を ペプチドの可能性

キャビアの裏にある廃棄部位

チョウザメは、高級食材のキャビアを採取するために養殖されています。ただ、実際に食用で使われるのは卵が中心で、内臓やオスの個体の多くは廃棄されています。キャビアを採取できるメスになるまでには長い年月が掛かり、その過程で不要となる個体も少なくありません。宮崎県ではチョウザメ養殖が盛んに行われており、生産者にとっては、こうした未利用部位の扱いが課題になっています。
注目されるのが、捨てられてきた臓器の中に、新しい価値を持つ成分が隠れている可能性があるということです。食品廃棄物を減らし、新たな資源として活用しようとする研究が進められています。

機能性ペプチドを探し出す

現在行われているのが、チョウザメの肝臓や大腸などから、「機能性ペプチド」を探し出す研究です。ペプチドとは、アミノ酸がつながってできた小さな分子で、人間の体の中ではホルモンとして働くものもあります。例えば、血糖値を下げるインスリンもペプチドの一種です。研究では、チョウザメから抽出したペプチドに抗酸化作用や免疫を調整する働きがあるかを調べています。もし有用な作用を持つペプチドが見つかれば、健康食品や医薬品への応用の可能性があります。捨てられていた食材の一部が、人の健康を支える新たな素材へ変わるかもしれません。

ペプチドが広げる医療と食品の未来

ペプチドは、もともと体内に存在する成分であり、体内で分解されるとアミノ酸になるため、副作用が少ないと考えられています。そのため近年は、薬だけでなく健康食品や特定保健用食品でも活用されています。一方で、体内で実際に働いているペプチドを見つけ出す研究は非常に難しく、構造の特定に10年以上掛かることもあるほどです。それでも、もし新しいペプチドが発見できれば、難治性疾患の治療や健康維持に役立つ可能性があり、研究が続けられています。食品廃棄物から医薬品につながる成分を探す研究は、食品産業と医療を結びつける新しい挑戦です。

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先生情報 / 大学情報

南九州大学 健康栄養学部 食品開発科学科 准教授 永田 さやか 先生

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食品機能利用学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は高校生のころ、英語がとても苦手で、「理系に進むから英語は必要ない」と思っていました。しかし実際には、研究者になった後に論文を書いたり、海外の学会へ参加したりする中で、英語の重要性を強く実感しました。高校で習う科目はとても多くありますが、「自分には関係ない」「将来使わない」と決めつけず、幅広く学んでほしいです。今は必要ないと思う知識でも、将来思いがけない場面で役立つことがあります。苦手なことも含めて学び続ける姿勢が、自分の可能性を広げてくれるはずです。

先生への質問

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南九州大学は、豊かな自然と温和な気候に恵まれた南九州の環境の中で、創造性に冨み、人間性と社会性豊かな人間を育成するとともに、食・緑・人に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献できる人材を育成します。
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