里山の暮らしを守る「ランドスケープデザイン」とは

都市と自然の「境界」を考える
まちづくりに関して、「ランドスケープデザイン」という研究分野があります。ランドスケープは風景や景観を意味する言葉で、イメージするのは都市の公園や美しい街並みかもしれません。しかし、そんな整備された空間だけがフィールドではなく、都市と自然が交わる境界も、空間の在り方を考える重要な場所です。
里山エリアは私有の農地や空き地が多く、その土地が雑草の繁茂やごみの放置で荒廃しても行政は介入しにくいため、周辺住民の生活環境を静かに悪化させることがあります。景観を美しく整えることだけがランドスケープデザインではなく、人々の暮らしを守ることも大切な役割なのです。
里山の社会的機能とは
人口減少が進む現代の社会では、都市と自然が交わる境界エリアにこそ、大きな空間変化が起きます。人が減り、農地が宅地へと姿を変えていく中で、管理されない土地が増え、景観の劣化や災害リスクの増大といった問題が生じます。農地や里山は単なる美しい風景ではなく、水害を和らげ、土砂崩れを防ぐ社会インフラでもあります。里山から人が減る中で、人と自然の関係をどう築くかを問い直すことも、これからの社会には欠かせません。その問題は、気候変動や人口減少などさまざまな社会の変化を踏まえ、多角的に考えていかないといけません。
人が手を加える価値
ランドスケープデザインに完成、終わりはありません。公園に植えた木も数十年たてば老木になり、市民に親しまれてきた桜並木をどう後世に引き継ぐかという問題も出てきます。人がつくった空間は、人が手を加え続けることで価値を保ちます。人と自然の関係をどう整えるかという課題は、自然環境と社会の変化によって形を変えながらずっと問われ続けるものです。
大切なのは完璧な空間をめざすことではなく、地域の人たちが使いこなしていけるよう「余白」を残しながら場所をデザインすることです。その積み重ねにこそ、人々の暮らしに根づいた豊かなランドスケープが生まれるのです。
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