電気刺激で血栓症を防ぐ! バイオメカニクスで医療福祉に貢献

人間の動作を工学的に解析
バイオメカニクスは、人間の体の構造や機能、動きなどを工学的に解析し、医療や福祉に応用します。整形外科医と連携して人工関節の評価を行ったり、歩行困難な患者の動作を分析したりすることで、より良い治療法の開発に貢献しています。
福祉に生かされる工学の研究例として、首から上しか動かない重度障害者向けの口腔(こうくう)内リモコンがあります。舌の動きでパソコンのマウスや車椅子を操作する装置です。この分野の先進国であるアメリカなどと比べて日本は遅れている部分もありますが、少子高齢化が進む中で、今後ますます重要性が高まると言えるでしょう。
血栓予防の新しいアプローチ
下肢の手術を受けた患者さんの約10パーセントに血栓が発生すると言われ、それが肺や脳で詰まると命に関わる重篤な状態を引き起こします。この「血栓症」の予防には、空気圧でふくらはぎをマッサージするフットポンプがほとんどの患者さんに使われています。ただ、騒音や蒸れ、装着の煩わしさといった問題があります。
そこで注目されているのが電気刺激による血栓予防法です。筋肉に微弱な電気を流すことで筋収縮を促し、血流を改善する方法で、音は出ず、シール状の電極を貼るだけなので蒸れる心配もありません。避難所や飛行機でのエコノミークラス症候群の予防にも活用できる可能性があります。
病院から家庭まで実用化をめざす
電気刺激による血栓予防の効果を最大化するため、さまざまな研究が進められています。刺激する周波数、電圧の強さ、刺激を与える間隔など、多くのパラメータを調整する必要があります。人によって、それぞれ最適な刺激条件が異なるため、個人差を考慮した調整も重要です。
研究では、安静時と比べて血流が30~40%改善するという結果も得られており、従来のフットポンプに代わる有効な手段として期待されています。将来的には病院での高度な治療から、家庭での在宅介護、災害時の避難所まで、手頃な価格で使用できる装置の実現が目標とされています。
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