中国の宮廷で絵本作り? サブカル文学から見えてくるもの

中国の宮廷で絵本作り? サブカル文学から見えてくるもの

サブカル小説を絵本に

中国文学と聞くと、難解な文章のイメージを抱くかもしれません。しかし、16世紀の明の宮廷では小説をもとに、子どもでも読める簡単な文章を添えた絵本を作っていました。絵本の題材には、明でサブカルチャー(サブカル)として親しまれていた『西遊記』などの中国古典小説も含まれていました。

絵本作りで地位が向上

調査によって、宮廷で絵本が作られていたのは、エンタメとして楽しむほかにもいくつかの目的があったことがわかってきました。その一つが、功績づくりと地位の向上です。
絵本作りは側室や皇女が命じるケースがありました。絵がたくさん入った物語は、まだあまり字を読めない子どもや女性に理解しやすく、子どもの教育にも貢献します。また、明では話しことばと書きことばが大きく異なっていたため、小説の書きことばを、絵本では話しことばに直して書くという工夫も施されました。教養に役立つ絵本作りの推進は大きな功績になり、制作を命じた側室の地位の向上や、その子どもの皇位継承権を高めることにつながったと考えられます。

サブカル研究の意義とは

明後期の「出版バブル」も絵本や絵本のもとになる小説の増加を後押ししました。当時は、識字率が低く、本を読めたのは少数の知識人男性でした。しかし明後期の1500年代後半、世界から銀が大量にもたらされると、経済がバブル時代に突入します。それは出版界にも及び、これまでは出版する価値がないと思われていたサブカル系の題材も含め、とにかく印刷物が増えていきました。
ただ、本が広まったものの、多くの人は文字が読めません。そのため知識人男性に音読してもらうことで内容を理解していましたが、聞くだけよりも絵があるほうが内容を理解しやすいことから、絵本の人気が高まりました。聞いて、絵を見て、文字を覚えるという行為をくり返すうちに、簡単な文章なら読める層が増えていったようです。このように、絵本や中国古典小説などのサブカルに注目すると、知識人以外の人々の暮らしが見えてくるのです。

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神奈川大学 外国語学部 中国語学科 教授 松浦 智子 先生

神奈川大学 外国語学部 中国語学科 教授 松浦 智子 先生

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中国通俗文芸、中国古典文学

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メッセージ

どうせ勉強するのなら、楽しい方がいいでしょう。苦手な教科の中にも、探してみると面白さの種があるはずです。例えば、世界中の文学には日常では想像できないほど変わった人々が登場するとか、そうした中に楽しさを感じられるでしょう。苦手を放置せずに自分から面白さを見つけにいくことで、興味が広がっていくと思います。また、楽しむためにはさまざまなことに関心を持つとよいでしょう。好みに合うものを検索するだけでなく、テレビやラジオなどで思いがけない情報に触れる時間も大切にしてほしいです。

神奈川大学に関心を持ったあなたは

1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、経営、外国語、国際日本のグローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスを開設。2022年に「建築学部」を開設、2023年に理工系学部を改組再編し「化学生命学部、情報学部」を開設。これにより文理11学部が横浜エリアに集結し、新たな一歩を踏み出しました。また返還不要の奨学金制度も充実。毎年12月下旬に全国23会場で実施している給費生試験で給費生合格、入学すると4年間で最大920万円の奨学金が給付されます。