「障害」は社会がつくり出す? 合理的配慮が生む優しい世界

「障害」はどこにあるのか
エレベーターのない建物で、車いすの人が2階に上がれなかったとします。その原因は、かつては「障害のある本人が努力しないからでは?」と考えられてきました。しかし国連の「障害者権利条約」は、障害は個人の問題ではなく、社会の側の問題である、という考え方を打ち出しました。階段しか用意していない建物こそが、その人の行動を妨げるバリア(障害)なのです。
誰もが等しく社会に参加する権利をもつ以上、バリアを取り除く責任は社会にあります。とはいえ、すべての建物にエレベーターを設置するには膨大な費用を必要とします。そこで、場面に応じて、無理のない範囲で別の方法を工夫する「合理的配慮」という考え方が、障害者権利条約に盛り込まれました。
合理的配慮の考え方に差異
日本では約10年前からこの分野の法整備が行われています。医療的ケアが必要な人の入浴を衛生上の理由で断ること、スポーツジムが電動車いすの利用を拒否することは、現在では違法となり得ます。障害のある人の意向を聞いて、「やりたいこと」が実現するために配慮する社会へと変わりつつあります。
一方で課題もあります。例えば、車いすの人が車いすごと持ち上げられることは「望まない配慮」になる可能性があります。また、合理的配慮が事業者にとって「過重な負担」となる場合は配慮を免除されますが、その判断は事業者が決めるため、意見の相違が生じやすくなります。
権利として浸透するために
合理的配慮の是非をめぐる国内の裁判で、障害のある人が勝訴することはまれです。これは、合理的配慮が個人の明確な「権利」として浸透していないことが背景にあります。そのため、発祥国であるアメリカの法律を参考に、日本でも権利として認めていくための研究が進められています。
合理的配慮は、障害のある人のためだけにあるのではありません。妊婦や子育て中の人、言葉の壁を抱える外国人など、生活を送るうえで困難を抱える人々に対して、誰もが自然に配慮し合える社会を実現することが、研究の目標です。
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帝京大学 法学部 法律学科 准教授 青木 亮祐 先生
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