K-POPは検閲対象だった? 自由を求めたアーティストとファン

K-POPが社会問題に
世界中で人気を集めているK-POPですが、草創期の1990年代の韓国では社会的な批判の対象となっていました。韓国の歴史をさかのぼると、なぜ批判の対象になっていたのかがわかります。
ヒップホップから影響
韓国では1980年代半ばまで独裁政権が続いており、市民の自由が制限されていました。独裁政権が倒れた後もすぐに社会が民主化したわけではなく、ファッションや音楽など表現を規制する傾向はしばらく続きました。そのため自由を求める若者たちは、抵抗の一つとしてアメリカのヒップホップなどに影響を受けたK-POPを生み出しました。
ヒップホップは貧困などに苦しむ若者がアメリカで始めた文化で、社会の不平等などに抵抗する精神が反映されています。韓国の若者もその精神に共感し、ヒップホップの要素をダンスや音楽、ファッションなどに取り入れたのです。すると親世代を中心に、「若者の風紀が乱れる」とK-POPを批判する声が上がりました。また、ソテジワアイドゥルというグループが、韓国で起きた大事故を題材に作った歌詞も、国により削除を命じられました。社会をネガティブに表現した内容が、独裁時代から続く検閲制度で不許可となったのです。
社会を動かしたK-POP
K-POPに自由をもたらす上で大きく貢献したのはファンです。好きなグループが自由に曲を出せないのはおかしいと、政界に働きかけました。中には後に韓国大統領になるキム・デジュンに手紙を書いた女子高校生もいます。K-POPグループとファンの運動により、歌詞の検閲制度は廃止されました。ほかにも社会との対立をいくつも乗り越え、K-POPは韓国を代表する文化に成長していったのです。
K-POPが社会的課題に向き合おうとする姿勢は2020年代になっても変わりません。音楽に共感したファンが、国境を越えて平和や人権を守ろうと連帯する姿も見られます。こうした韓国の歴史とK-POPの関係や、K-POPをきっかけにした市民の活動は、学問的にも注目されています。
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先生情報 / 大学情報

桃山学院大学 国際教養学部 准教授 山本 浄邦 先生
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