メディアの「物語」が広めた偏見を変えるには? 戦後の日本を研究

戦後日本に入ってきた海外文化
戦後日本へは海外から多くの文化がもたらされ、社会の常識が変化しました。テレビや映画などのメディアを通して多くの人々に海外の価値観が伝えられました。
しかしメディアで伝達された物語の中には、一部の人を排除する考え方も見られました。
マンガが表した偏見
社会に根づいた偏見や固定観念は、マンガなどの身近な作品にも表れることがあります。石ノ森章太郎の『サイボーグ009』は、1964年の連載開始以来、長く親しまれてきた有名なマンガです。世界各国の人々がヒーローチームを結成し、力を合わせて平和のために戦います。一方で、女性メンバーの003(フランソワーズ)は、同じチームの一員である赤ちゃんの001(イワン)の世話をし、仲間たちの母親のような役割も担っています。こうした描写には、「子育てや世話は女性の仕事」という性別役割分担の考え方が反映されているとも考えられます。また、黒人メンバーの008(ピュンマ)は、初期には唇が極端に大きく描かれるなど、その外見に人種的なステレオタイプが見られます。このように、国籍や人種を超えた協力を描く作品にも、当時の社会の偏見や固定観念が表れることがあります。
社会に抵抗した小説と映画
一方で、小説や映画は、社会の偏見を問い直すきっかけにもなります。松本清張の『砂の器』や江戸川乱歩の『黒蜥蜴』、そしてそれらを原作とする映画には、差別に苦しむ人物や、社会の「普通」から外れた生き方が描かれています。探偵小説や推理小説は、事件の謎を解くだけでなく、普段は見過ごされがちな暮らしや、社会の矛盾を描く場でもあったのです。
1960年代といえば日本経済が急成長を遂げた時期で、男性は女性より優位な立場でした。その立場にいた彼らが、なぜそうした人々に目を向け、社会に問題を提示する物語を生み出したのでしょうか。この疑問を解き明かそうと、1960年代の日本人男性作家や、戦後の海外メディアからの影響を分析する比較文化研究が行われています。
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聖心女子大学 現代教養学部 国際交流学科 教授 スティーブ コルベイユ 先生
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