薬剤耐性菌をやっつけろ! 新たな抗生物質を生み出す放線菌研究

医療を支える放線菌
医療現場で使われている抗生物質の約7割は、土壌中に生息する放線菌という微生物が生産する化合物をもとに開発されています。放線菌は現在数千種が確認されており、抗生物質の種類も多様です。
医薬品開発の現場は大きな課題を抱えています。抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増加しているからです。十分な対策を講じなければ、2050年には1000万人が薬剤耐性菌由来の病気で亡くなると予想されています。これを防ぐために、放線菌が抗生物質を作り出すメカニズムを解明し、薬剤耐性菌にも効く新しい抗生物質を人工的にデザインする研究が進められています。
抗生物質の作り方
研究によって、多くの放線菌では、抗生物質を作る遺伝子が染色体上の特定の領域にまとまって存在していることがわかりました。抗生物質の中心となる骨格(母核)を生み出す遺伝子、母核に付属する飾りのような部品を作成する遺伝子などが、ひとまとまりとなっているのです。これらの遺伝子から作られる酵素が協調して働くことで、母核に次々に部品を取り付けていき、流れ作業で製品を組み立てていくイメージです。
世の中にない抗生物質をめざして
次の課題は、自然界が生み出してきた「ものづくり」の仕組みを人工的に変え、これまでに存在しなかった新しい抗生物質を作ることです。例えば、異なる抗生物質を作る放線菌の遺伝子を組み合わせ、それぞれの抗生物質が持つ特徴的な部品を併せ持たせることで、薬剤耐性菌にも有効な抗生物質の開発をめざしています。
抗生物質は細菌の特定の場所に結合し、増殖を抑制します。一方、薬剤耐性菌は、抗生物質が結合する場所の構造を変化させ、抗生物質を結合しにくくする場合があります。そこで、異なる抗生物質の部品を組み合わせ、こうした薬剤耐性を克服する新しい構造を作る研究が進められています。しかし、部品を作る酵素同士がうまく連携できず、目的の部品が作られないこともあります。このような課題を解決し、自然界にはない新しい抗生物質を作り出す研究が続いています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
![選択:[SDGsアイコン目標3]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-3-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標4]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-4-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標9]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-9-active.png )