養護教諭の新たな役割 ~教室で育てる、子どもの「生きる力」~

保健室から教室へ
養護教諭は、子どものけがや体調不良に対応する存在「保健室の先生」として知られてきました。しかし近年、その役割は大きく広がっています。教室に出向いて健康の大切さを伝える「攻めの健康教育」を実践する時代になっているのです。養護教諭が「保健」の授業を担当する機会も増えており、すべての児童生徒に対して、健康な人生を送るための積極的な指導を行うことが求められています。
現代的健康課題
健康教育では、知識を学ぶだけでは行動は変わらないことがわかっています。喫煙や飲酒、薬物乱用、いじめ、不登校といった「現代的健康課題」を予防するには、知識を行動に結びつける力が必要です。この力は「ライフスキル」と呼ばれ、日常生活で生じるさまざまな問題に対処するために必要な心理社会能力を指します。
100名近くの子どもを対象とした調査により、自尊感情が高い子どもほど、こうした問題に陥りにくいという結果が得られています。さらに、小学校高学年頃から思春期にかけて自尊感情が下がる傾向があり、特に日本の女子は下がり方が急激なこともわかりました。この時期にこそ、子どもたちのライフスキルを育てる必要があります。具体的には、誘いを上手に断る方法、人間関係を壊さないコミュニケーションの取り方、ストレスへの対処法などを、子どもたち自身が身につけることが欠かせません。「これはダメ、あれもダメ」と禁止するのではなく、自分で考えて判断する力を育てることが大切なのです。
教員も学ぶライフスキル教育の実践
子どもたちを指導する教員が具体的な指導法を身につけると同時に、自身の自尊感情を高めることも欠かせません。そのため、養護教諭も含めた教員向けのワークショップが定期的に催されています。
近年はメンタルヘルスプログラムの開発も進められています。このプログラムでは、子どもたちの「生きる上での変化や課題に適応し、困難な時に回復する能力」であるレジリエンシーの形成を目指しています。こうした健康教育が今後ますます重要視されるでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報

名古屋学芸大学 ヒューマンケア学部 子どもケア学科 子どもケア専攻 教授 近森 けいこ 先生
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