文学を読み解き、今の社会への問いかけに変える

文学を読み解き、今の社会への問いかけに変える

文学と歴史とのつながり

今や誰もが知る怪物が登場する小説『フランケンシュタイン』は、イギリスの小説家、メアリ・シェリーによって書かれました。メアリの母親は最初期のフェミニストとして有名なメアリ・ウルストンクラフトで、父親はアナキズム(権力に負けず個人の自由や考えを主張すること)の先駆者ウィリアム・ゴドウィンでした。さらに『フランケンシュタイン』が発行された1818年は、フランス革命という大きな出来事から20年ほどの時期です。メアリがなぜフランケンシュタインを書こうと思ったのか、そして彼女の両親が訴えていた思想がなぜその時代に重要だったのか、フランス革命という歴史的な事柄と絡めて考えてみましょう。

『フランケンシュタイン』の時代背景

フランス革命は、メアリが生まれ育ったイギリスに大きな影響を与えました。当時のイギリス政府は、フランス革命の余波を受けて国民が反逆することを恐れ、国家権力に抵抗する発言や発表をした人たちを厳しく取り締まっていました。それを反映するように、この小説では、創造主でもある科学者に捨てられ、「怪物」として迫害された不遇の人造人間が“声”を奪われています。メアリはその「怪物」に声を与えることによって、権力に抵抗する反逆者として書いたのだと考えられます。

文学作品を通し、「問い」を見つける

『フランケンシュタイン』は200年ほど前の作品ですが、国家が過剰な権力を持つことや社会的弱者の生きづらさなど、現代にも通じる問題提起があります。読み手は、不幸や貧困で苦しむのは自己責任だという風潮やそれが「正しい」とされている現状を疑うきっかけになるでしょう。例えば、「怪物」のような不遇な者たちの声は聞き届けられているのか」「なぜこの社会は生きづらいのか」と、自分の頭で考え始めるのではないでしょうか。現代にも同じような問いかけをする優れた小説がたくさんあります。作品の読み手は現実を生きる上でヒントになるさまざまな問いを見いだすことができるのです。

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上智大学 外国語学部 英語学科 教授 小川 公代 先生

上智大学 外国語学部 英語学科 教授 小川 公代 先生

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イギリス文学、ジェンダー

メッセージ

大学とは、4年間の「猶予」が与えられる貴重な期間だと考えられます。その時間を、卒業するためだけに講義を受けたり、単位をもらうために簡単な講義を探したりという、目先の目的のために使うのはもったいないと思います。在学中に新しい視点と出会ったり、映画を見たり、本を買ったり、小説を読んだり、新たな物事に触れる時間が、これからの自分の伸びしろを広げていくことにつながるのではないでしょうか。

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上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。