畳だけではない、無限の可能性を秘めた「い草」

畳だけではない、無限の可能性を秘めた「い草」

いま「い草」がピンチ!

畳として、日本で古くから住居の敷材に使われてきた「い草」は、現在、その生産量が減少の一途をたどっています。主な理由は、生活様式の変化により畳の需要が減ったことや、い草農家の高齢化・後継者不足などがあります。
日本の伝統文化を支えてきたい草をこのまま衰退させて良いのか、い草の良さを科学的に解明できないかという観点から、い草の研究が行われています。そして現在、代表的な効能である調湿性やリラックス効果、抗菌・防臭効果のほかに、驚くべき機能がいくつもあることがわかっています。

驚くべきい草のパワーとは?

女子高校生のグループに2週間、い草の粉末を1日3回摂取してもらったところ、排便回数が約1.5倍に増加していました。これはい草に多分に含まれる食物繊維が排便効果を高めたことが要因の一つです。また、お通じが良くなったことにより、い草を摂取する前よりウエストが平均で4.6cmも減少していました。
さらに集中力の持続効果があることもわかりました。ある学習塾で畳教室とフローリング教室を用意し、小学5年生と中学2年生に30分間ずつ簡単な計算問題に挑戦してもらったところ、畳教室の方が解いた問題数が多かったのです。畳の部屋は、吸音効果により静かな環境で勉強ができ、またい草の香りがリラックス効果を生み出すため、子どもたちは落ち着いて計算問題に向き合えたと考えられます。

い草の需要を増やす

い草の生産量は、今も年々減少しています。この状況を打破して、い草農家を救うためには、い草の需要を拡大することが必須です。い草の秘められた機能性を新たに見い出すことで、新産業の創出や、畳の問題点を抽出し解決することが求められます。
例えば、畳はリラックス効果や空気浄化、湿度調整など多くのメリットがある一方で、構造的にダニやカビが発生しやすいというデメリットがあります。このデメリットを解決して畳の需要を増やすことがこの研究の使命です。それが、い草という伝統文化の保護にもつながっていくはずです。

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先生情報 / 大学情報

北九州市立大学 国際環境工学部 生命工学科 教授 森田 洋 先生

北九州市立大学 国際環境工学部 生命工学科 教授 森田 洋 先生

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微生物学、食品学、生物資源工学

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メッセージ

高校時代は放送部に所属し、将来は放送局で番組を作りたいと思っていました。しかし大学4年でたまたま配属された研究室でカビに出会い、最初は「カビなんか気持ち悪い」と思いましたが、研究を始めると面白く奥深い世界だと感じ、研究者を志すようになりました。教員の初任地がたまたまい草の大産地で、そこから25年以上い草の研究をしています。人生は出会いの連続です。その出会いを面白くするのもつまらなくするのも自分次第です。先入観を持たずに目の前の出会いに関心を持ってみましょう。きっと思いがけない未来が見えてきます。

先生への質問

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北九州市立大学は、文系4学部・1学群(北方キャンパス:外国語・経済・文・法学部、地域創生学群)、理系1学部(ひびきのキャンパス:国際環境工学部)を擁する公立の総合大学です。
産業技術の蓄積、アジアとの交流の歴史、環境問題への取組といった北九州地域の特性をいかし、「地域に根ざし、時代をリードする人材の育成と知の創造」を目指し、「選ばれる大学への質的成長」「大学のプレゼンス(存在感)」「環境・地域・アジア」をキーワードに、語学教育、環境人材育成、地域人材育成に力を入れています。