先端技術を社会でどう使う? 「体験」をデザインするUI/UX

「何げなく使える」には理由がある
スマートフォンのアプリや電車の自動改札を、私たちは日々何げなく使っています。しかしその「何げなさ」は偶然ではありません。人間とコンピュータの相互作用を研究する「ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)」という学問領域によって、使う人が戸惑わず直感的に操作できるよう、緻密に設計されているのです。その中心にあるのが「UI/UX」です。UIとは画面や操作ボタンなどのインタフェース、UXとはそれを使ったときの体験のことを言います。どんなに高性能なシステムでも、使う人のストレスがあれば、価値が高いとは言えません。人の行動や感覚を丁寧に観察し、「使いやすさ」をデザインするのがUI/UX研究です。
多様な分野で活躍
UI/UX研究の特徴の一つは、社会で実際に使われる点です。例えば、カーリングの競技支援でも活躍しました。選手が戦術を練るために、ストーンの上にタブレットを搭載し、速度や回転量を選手にリアルタイムでフィードバックするシステムが開発されました。ところが、実際に使ってみるとストーンが回転すると画面も一緒に回ってしまい、情報が読み取れないという問題が生じました。この課題を解決したのが、画面の向きを自動補正するUIでした。
技術の組み合わせが生む新体験
富士サファリパークとの共同研究では、餌やりばさみにカメラを取り付けた「ガブレコ」が開発されました。動物が餌を食べる瞬間を超接写で記録するこの装置は、既存の技術の組み合わせから生まれたものです。一方で来園者は、これまで見たことのない角度から動物と向き合う、まったく新しい体験を得ることができます。
UI/UXの領域では、技術を一から発明しなくても、既存の技術の組み合わせ方次第で、体験の価値を大きく高めることができます。AIが人間にとって代わろうとする時代だからこそ、これまでにない使い方を生み出す人間の発想力やひらめきは、ますます重要になっています。
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