森林と農村が共生する「エコツーリズム」の可能性

森林破壊の進む海外の国々
世界には、さまざまな環境問題を抱える国があります。インドネシアでは、アブラヤシのプランテーション拡大による大規模な熱帯林の破壊で、生物多様性の喪失が深刻です。アフリカ大陸の南東沖にあるマダガスカルでも森林減少で、希少なキツネザル類が絶滅の危機にあります。現地の人たちは、現金収入を得るために木々を伐採したり、森林を開墾したりしており、それらが地球温暖化の原因にもつながっています。彼ら/彼女らがその土地で豊かに暮らすために、ほかの方法はないのでしょうか。
森林保全と経済活動を両立
インドネシアでは、森でコーヒーや砂糖など、お金に換えられる作物を育てており、森と共存する人たちを支援するフェアトレード活動が日本で始まっています。また、マダガスカルでも、森林の中でカカオやバニラを栽培する「アグロフォレストリー」が進んでいます。
一方、農村地域の住民がより多くの収入を得られる好例として、エコツーリズムがあります。観光客は自然体験ツアーや伝統的な食事を楽しみます。この一つのお手本がイタリアの「アグリツーリズム」です。客は農家に泊まってイタリア料理を堪能します。食事の「地産地消」が徹底され、地元の農業と食品業者を守るという目線でルールが整備されています。30年ほど前から始まり、観光収入が見込めるため「就農」する若者も増え、地域活性化にも貢献しています。
日本の農村振興のヒントに?
欧州では、オーガニックや環境保全型の農家に補助金を多く出すなど、農村環境を守るさまざまな政策が行われています。そんな背景で生まれたアグリツーリズムですが、農家が副収入を得られるこのような仕組みは、発展途上国でも参考になるでしょう。もちろん日本でも耕作放棄地や山林の整備などの課題解決、そして農業の復興のヒントにもなり、森や農村が調和する産業の新たな探求につながるかもしれません。森を守り、生物多様性を守り、ひいては地球温暖化(気候変動)を防ぐ環境づくりへの道を、みんなで探る努力が必要とされています。
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フェリス女学院大学 グローバル教養学部 国際社会学科 地球社会・環境専攻 教授 佐藤 輝 先生
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