地図とデータで、安心して暮らせる地域を考える

地図に多様なデータを重ねる
GIS(地理情報システム)は、地図の上にさまざまな情報を重ねて、地域の特徴や課題を見えるようにする技術です。例えば、人口の多い場所に病院は足りているのか、高齢者が多い地域は移動しやすいのか、災害時に避難しやすい地域はどこか、といったことを考えることができます。地図アプリやハザードマップにも使われている身近な技術ですが、その先には、社会の問題を発見し、解決を考える学びが広がっています。それが地理情報科学です。
医療機関の最適配置
日本では現在、救急患者を受け入れられる医療機関が減っており、救急車が搬送先を探すのに手間取る「救急搬送困難事案」が大きな問題となっています。これを情報地理学で解決しようとする研究が進められています。
救急医療などの分野は、24時間体制で稼働するため経費が掛かり、赤字になりがちです。もちろん人命を守るためになくてはならないのですが、病院が一つの地域で多すぎると、利用が少ないのにコストが膨らみ、病院経営が成り立たなくなります。経営難や人手不足から24時間体制を維持できる病院が減り、搬送困難の問題も生まれています。そこで、地域住民の需要と病院の供給のバランスの取れた、最適な医療施設の数や配置をGISによって算出し、行政の計画や病院の経営に生かそうというわけです。
将来の影響をシミュレーション
GISでは地図上に地域のさまざまな情報を重ねることができます。例えば、地域の人口や平均年齢は国勢調査のデータがあります。医療施設の位置、医療従事者の数や病院の利用状況などもGISに盛り込んで、医療施設の分布を分析すると、どの地域で医療施設が足りているか、または不足しているのかがわかります。さらに、その地域の医療施設を統廃合したらどれほどの住民に不利益が出るのか、などと将来の影響をコンピュータでシミュレーションできます。こうした取り組みが各地で行われれば、全国の医療機関の配置が最適化され、救急搬送先の問題の解消にもつながると期待されます。
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