日常会話を科学する コミュニケーションの分析

日常会話を科学する コミュニケーションの分析

社会は人と人の相互行為でできている

私たちが普段、何気なく交わしているおしゃべりを観察すると、言葉だけでなく身ぶり手ぶり、視線、表情などを組み合わせてコミュニケーションしていることがわかります。家庭という小さな社会で起こる出来事も、政治的な決定も、突き詰めれば言葉や身体による相互行為の積み重ねです。そんな私たちの社会の根源にある、人と人との相互行為に着目するのが「エスノメソドロジー・会話分析」という研究方法です。これによって、相互行為に参加している人々がどのように互いを理解しているのか、コミュニケーションの仕組みを明らかにします。

繰り返す意味は?

外国人留学生(A)と、日本人大学生(B)が「日本語のクラスで何を学んでいるか」という話をしています。
Aが「well hyookan suru? (えーっと『ひょう感』する?)」とためらいながら言い、それについてBが「Kyohkan(共感)」と発音を訂正する。Aはその後「Kyookan(共感)」と誤りを訂正しながら繰り返す。
このような訂正の後の繰り返しは、異文化コミュニケーションにおいて言語を学ぶときにしばしば見られる現象です。まずAは「ひょう感する?」と語尾を上げることで、自分を日本語が不確かな者として、Bを日本語の第一言語話者としてその場に位置づけています。次にBは共感の「きょう」にアクセントを置いて、正しい発音をデモンストレーションします。そしてAはそうしたデモンストレーションと同じように繰り返すことで、Bの訂正を日本語のインストラクション(教示)として捉えているのです。

AIの会話に活用

会話分析は小型のテープレコーダーが普及した1960年代後半に始まった研究の手法です。コミュニケーションに関する研究ではそれまで扱われることのなかった会話の間合いや、視線、身ぶり、声の調子などに着目しているのが特徴です。これはAI・ロボット開発にも応用されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部 グローバル・コミュニケーション課程 講師 荒野 侑甫 先生

群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部 グローバル・コミュニケーション課程 講師 荒野 侑甫 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

異文化コミュニケーション学 、社会学

メッセージ

好きな人に告白して「う~ん、今度伝えるね」と言われ、すぐに返事が来なかったら不安になってしまうでしょう。私たちは相手に同意するときは、なるべく早く応答します。逆に不同意のときは間合いを置いたり言い淀んだり、言い訳をしたりして、応答が遅延されます。こうした応答のやり方は普段は気づかないかもしれないけど私たちが自然に使っている技法の一つです。実は何気ない日常は研究テーマの宝庫です。身の回りを観察してみるといろいろ発見があるかもしれません。コミュニケーションに苦手意識がある人にも向いている学問です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

群馬県立女子大学に関心を持ったあなたは

群馬県立女子大学は、4学科からなる文学部と2課程からなる国際コミュニケーション学部を擁する公立女子大学です。
両学部ともに少人数教育を重視しており、教員による学生一人ひとりに目の行き届いた授業が展開されています。ディスカッションなどの双方向でのやり取りや議論を交えた授業により、学生同士刺激を受けながら、主体的に学問研究を深めることができます。