地形や気温の観測データを音楽に変換! 地理空間情報科学の新境地

地図上に重ね合わせて価値を創造
近年では、人工衛星などで観測した地上の画像など膨大な地球科学データが、誰でも利用できる形でクラウド上に保存されています。気候、地形、生態系、人間の活動などさまざまなデータを地図上で重ね合わせることで、新たな知見や問題解決方法を生み出す学問を「地理空間情報科学」と言います。
例えば地震が起きたときに、地震データや地図情報、人工衛星から観測した被害状況から、支援を優先すべき場所を割り出し、素早く効果的な対応ができる可能性があります。
レコードの凸凹の原理で
地理空間情報科学の一つの形として、人工衛星の観測データを音に変換して利用する研究が行われています。アナログのレコード盤は、音の情報として記録された溝の凸凹を針でなぞることで音楽を奏でます。それに倣い、地形の凸凹を音に置き替えたり、または気温の上下を音階に変換したりして、観測データを音楽の素材として活用する作曲法が提案されました。
まず、「過去40年間の北極・南極の気候変動」というテーマを決め、関係する観測データをダウンロードします。プログラミングで必要なデータを取り出し、それをmidiという音楽ファイルに変換します。そして、作曲ソフトで編集、かつ人間が作曲したメロディも加えながら、楽器ごとに楽譜をつくると、これまでにない独特の”不規則さ”を持つ音楽ができあがります。
新しい音楽ジャンルが誕生?
自然現象を素材に作曲する手法の一つとして「サンプリング」がありますが、研究では自然の音源をそのまま使うのではなく、データから楽譜を作成するところが新しい点です。この手法を使って、北極・南極の状況を表現した『弦楽四重奏曲第1番《極域エナジーバジェット》』と題した曲が完成し、海外の科学論文誌や音楽関係者からも高く評価されています。
人工衛星データを素材にして作曲された、独特の質感の音楽が、これまでにない音楽ジャンルとして確立されていく可能性があります。地理空間情報科学は芸術の発展にも貢献できるのです。
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