金属が曲がるのはなぜ? 計算力学で強度のメカニズムを解き明かす

材料の性質をシミュレーションで調べる
天気予報や、スポーツ用品が競技者に与える影響、製品の設計など、さまざまな場面でコンピュータ・シミュレーションが活躍しています。それを支えているのが「計算力学」で、理論に基づきコンピュータ上で実験する学問です。
計算力学が力を発揮する分野の一つが材料工学です。金属などの材料が曲がったり、折れたりするメカニズムを、シミュレーションを基に調べ、新しい材料の開発に生かします。
金属の変形をミクロの世界から予測
金属は自動車や飛行機、スポーツ用品、スマートフォンなどに使われる重要な材料です。しかし、金属がどのように変形して、なぜ破壊に至るのかについては、多くの謎が残されています。
金属を顕微鏡で観察すると、多数の小さな結晶の粒が集まっていることがわかります。結晶の粒ごとに性質が異なるため、力を加えたときの変形のしやすさも場所によって変化し、内部では複雑な変形が生じます。このような現象の解析には「結晶塑性有限要素法」というシミュレーション技術が活用されています。結晶の粒ごとの性質の違いを再現することで、実験だけでは観察が難しい材料内部の変形を詳しく調べることができます。
近年は、このような技術を駆使して、軽くて強いチタンの変形メカニズムの解明が進み、変形が集中する条件などが明らかになりつつあります。こうした研究は、より安全で高性能な材料や製品の開発につながることが期待されています。
最適化手法を使った推定システムも研究
コンピュータで金属の変形を再現するためには、「どれくらい変形しにくいか」という情報が必要です。金属は、結晶中で原子同士が少しずつずれることで変形します。この原子のずれにくさを表す指標がCRSSです。CRSSは材料の強さや変形の仕方を決める重要な値ですが、実験だけで正確に求めるのは簡単ではありません。そこでコンピュータによる最適化技術を利用して、顕微鏡で観察した材料の画像からCRSSを自動的に推定するシステムの開発が進められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
![選択:[SDGsアイコン目標9]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-9-active.png )